(432)ジェリー・デラ・フェミナ氏とのインタヴュー(4)
【用法】昨日の奇説は今日の常談なり。然らば即ち今日の異端妄説も亦必ず後年の通論常談なる可(べ)し。
福沢諭吉『文明論之概略』岩波文庫
(chuukyuuの疑問:DDBのアート・コピー=セッション方式による広告づくりを紹介して40数年たった。常識として理解されている。とはいえ、DDB級のキャンペーンがさほどに生まれないのは、どうしたことだろう。
デラ・フェミナ トラビサノ&パートナーズ代理店
社長(当時)
もしゴリラがアイデアを持っていたら、コピーライターとして雇うだろう
chuukyuu「秘書がコピーライターになりたいと希望した場合はどうすればいいんだろう、と訊かれたことがあるのですが、そうした場合、彼女にはどんな準備が必要ですか?」
フェミナ氏「美人であることが第一条件(笑)。
いやそんなんじゃなくて、とにかくあらゆる意味で『広告に歩み寄る』ということをやってもらわなくては。
そして、それがはたしてできるかどうか、深く考えられるかどうかを私に明らかにしてくれなくては。
それを証明することがまず最初に必要です」
chuukyuu「ということは、あなたは年功序列という制度を用いていらっしゃらないことになりますね?」
フェミナ氏「だれにだってこの仕事はできるんですよ。
つまり、どんな人のアイデアも役に立つのです」
chuukyuu「性別、年齢、宗教、その他一切関係なしですね?」
フェミナ氏「そんなものはまったく関係ありません。
極端な例ですが、もしゴリラが訪ねてきて、そいつが何か書けそうな感じを持っていたら、私は鉛筆を渡してしばらく部屋に放っておくでしょう。
私は、どんな人が広告をっくったのか、アイデアはだれから出されたものかなどということは、一切無視します。
喫茶店でもウェイトレスが突然『じつは、○○ の商品にとても良いアイデアがあるんですが』といってきたとします。
それがほんとうに良いものであるなら、私はきっとそれを使わせてもらうことになるでしょう。
私に必要なのは、『グッド・アイデア』です。
それが、どこで、だれによって出されたものなのかということはまったく心配しませんね。
そんなことをとやかくいうのは、まったく愚の骨頂ですよ」
chuukyuu「そうした場合、アイデアを出した彼、もしくは彼女を信じますか?」
フェミナ氏「まず証明してもらわなくては困ります。
実例を幾つか出してもらったうえで、それがよしとされた場合には、彼らは必ずコピーライターの仕事につけるのです」