創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(438)ジェリー・デラ・フェミナ氏とのインタヴュー(了)


【用法】私たちは決して製品についてはクライアントとおなじには知ることができないと考えています。なにしろ、クライアントは、製品と寝食をともにしているのです。クライアントはそれをつくったのです。生活の大部分をそれとともにすごしているのです。私たちは、どうしたってクライアントとおなじようにそれについて知ることはできないのです。
それと同じことで、クライアントは広告については、私たちと同じように知ることはできないのだと、私は確信しています。
なぜなら、私たちは広告環境の中で一日中生活し、呼吸しているのです。
そして、私たちがそのおなじ製品をとり扱っているということと、それとは全然無関係なのです。
私たちは、クライアントのとは別の技術を必要とします。クライアントはその製品をつくり、マーケットする技術を必要としています。私たちには、それを消費者に伝え、説得する技術が必要なのです。
この二つは、違ったものです。全く別ものなのです。
(「ウィリアム・バーンバック氏、広告の書き方を語る」())( )の数字をクリックで全文が読めます。


(chuukyuu覚悟)この先達の言葉を、クライアントに納得してもらうのは、至難ともいえるが、それなくして、広告の変革が進まないことも確か。




デラ・フェミナ トラビサノ&パートナーズ代理店
社長当時


<<ジェリー・デラ・フェミナ氏とのインタヴュー(1)


米国の広告界には革命が起きるだろう


chuukyuu「米国の広告の未来像というようなことに関して、意見をお持ちでしたら開かせてください」


フェミナ氏「いずれは革命的なことが起こるのではないでしょうか。みんなが革命を起こすのです」


chuukyuu「どんなふうにして?」


フェミナ氏「世代の交代です。若い人たちが年寄り連中にとってかわるのです。
私たちだって、いずれは年寄りになるのですが、今の年寄り連中は、私たちに仕事を譲るということは決してしないばかりでなく、いつまでも未練がましく仕事に執着しているのです。
そこで革命です。
私たちは、彼らとは違ったタイプの広告をつくっているのです。
もっと正直な広告を。
ですから、私たちはもっと強いものを持っているのです。
いずれは私たちも年をとります。
そして、あるいは彼らと同じように事から離れられないということになるかも知れません。
ただ、彼らと違うのは、私たちのほうがもっと確信をもって仕事にあたるであろうという点です。
私たちは今、納得のいく正しいことをしているのですから。
何が正しいのか、どうしたらいいのかということをよく承知していますし、広告そのものを売っているのが私たちなのですから。
それからもうーつ。
大きな代理店は、それがどんなに力の強いものであったとしても、徐々にその力を失っていくのです。
そして、小さな代理店、ちょうど私たちのような小さな代理店が、もっともっとふえて、いずれは大きな代理店に取ってかわることになるでしょう。
これからは、広告界に正面からぶつかって革命を起こすことになるでしょうが、それ以上に私たちは正直に誠実になっていくのです」
(了)