創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(382)キャロル・アン・ファインさんとの和気藹藹インタビュー(4)


ファイン夫人とのインタヴューのタイトルに、わざわざ「和気藹藹」なんて言葉をはさんだのは、きょうの、夫人「お気に入り」の同業コピーライターを聞き出しているからです。その全員とインタヴューをすませていたので、彼女の評価もまっとう---とうなずきました。


キャロル・アン・ファイン夫人
    ウェルズ・リッチ・グリーン社 取締役副社長・コピースーパバイザー(当時)



いつも拒絶されているくらいなら、他へ移ったほうがよい


chuukyuu 「才能のあるコピーライターでありながら、環境が悪いばっかりに良い仕事ができないという場合があるとお考えになりますか?」
ファイン夫人 「いつも拒絶されてばかりいるくらいなら、そんな会社にいるよりはさっさと他へ移ったほうがいいのです。つまり、私がいいたいのは、ほんとうに才能がある人なら、当然人びとは彼を理解するはずですし、どこの広告代理店でだって自由になれるということです」
chuukyuu 「今日の米国の広告代理店で、コピーライターに好ましい環境を与えているのはどこですか、できるだけたくさんあげてください」
ファイン夫人 「もちろん、DDBがそうです。それからここウェルズ・リッチ・グリーン、カール・アリー、スミス・グリーンランド、それからケース・クローン、カート・カンべニソン・サイモンといったような、広告欄では自分たちのことをブティックと呼んでいるものもあります。Y&Rは、悪い点もありますが、良い点もたくさんありますから、掲げてもいいと思います。ジャック・ティンカー---むろん問題が起きる前のことをいっているのですが、 ロイス・ホランド・キャロウェイ、いま思い出せるのはこれぐらいです。まだまだたくさんあると思いますが」
chuukyuu 「そういうことから考えてみると、小さな代理店、というよりトンプソンのような代理店と比較してみると、小さい代理店のほうによりクリエイティブなコピーライターがいるような気がするのですが」
ファイン夫人 「さーて、私にはよくわかりませんね。私はトンプソンのこと、ほんとうによく知らないんです。ロン・ローゼンフェルドがJ・W ・トンプソンに移った時、彼のことはご存じと思いますが、クリエイティブ仲間は誰もがJ・W ・トンプソンに強い関心を示しました。といってもニューヨークにいるほんとうの意味でのクリエイティブ狂は数少ないのですが。確かロンは、もう、あそこにもいないはずです。 トンプソンは創造活動という点では、あまり自由とはいえないと思います」
chuukyuu 「実をつけない組織のようなものですね」
ファイン夫人 「確かに」


お気に入りのライターは、ジーン・ケイス


chuukyuu 「あなたが尊敬するコピーライターは誰ですか。お好きなだけたくさんあげてください。現役でも、もう引退した人でも結構です」
ファイン夫人 「まず一番お気に入りのコピーライターは、ジーン・ケイスです。尊敬もするし偉大だと感じているライターはたくさんいます。 ロン・ローゼンフェルドも偉大ですし、ジャック・ディロンも、それからディック・リッチも。
DDBにいるライターのことを考えてみると---とにかくたくさんいすぎて。ボブ・レブンソンもそうです。ただ彼は確かに偉大なライターですが、私の気に入ったライターではなさそうだな。もちろんフイリス・ロビンソンも、すばらしい。B&Bにいるアル・ハンベルも好きです。(明日は、ファイン夫人の自選のラヴ化粧品のTV−CMについて語ります)


chuukyuuアナウンス】ファイン夫人のお気に入りのコピーライター---ジーン・ケイス氏は、夫人よりうんと前にインタヴューして、『みごとなコピーライター』に収録しているので、ファイン夫人とのインタヴューが終わり次第(今日から4日後か5日後)に、つづいて掲載の予定です。アル・ハンペル氏のインタヴューも『劇的なコピーライター』に収録ずみです。

ファイン夫人が尊敬しているコピーライターたちとのインタヴュー---

ロン・ローゼンフェルド氏とのインタビュー
(12345了)

ジャック・ディロン氏とのインタビュー
(1234567了)

ロバート・レブンソン氏とのインタビュー
(123追補)

フィリス・ロビンソン夫人とのインタビュー
(12345678了)




ディック・リッチ氏とのインタヴュー
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