創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(4) 2008年のカレンダーを語る

参加者
アートディレクター 秋元 幸男(右)
グラフィックデザイナー 向井 雅代(左)
造形作家 西村 優子(中)



秋元:この企画の経緯は?
向井:いつもより違ったコンセプトでやってみようと思っていたところに、たまたま、造形作家で折り紙をやっている西村さんを知り、同世代だし、それでは写真も女性で---ということで、朴玉順(パク オク スン)さんにも参加してもらって、とりかかりました。


コンセプトは、カレンダーの表紙にも刷ってある”Prism of Hearts" 。折り紙が創りだすさまざまな形状と陰影---それを女性というか、人間のこころのひだに見立ててみたのです。
西村:企画を聞いて、折り紙が創りだす無限のメッセージをより多くの方に知っていただけるというので、勇んで制作しました。


秋元:刷りあがったカレンダーをご覧になって、作家としてのご感想は?
西村:指先から指紋が消えるほどのきびしい作業の日々でしたが、カメラの朴さんのライティング効果などもあり、思った以上の出来栄えですね。
秋元:作品がグラフィック・デザイナーの美意識でトリミングというか、切り刻まれてしまうことに、作家としての感情は?
西村:最終的な効果は、グラフィック・デザイナーの方の感性におまかせするのが一番ですから、いわれるような感情は湧きません
向井:カレンダーって、毎日見るものですから、月々の見た目の変化も重要です。その点、カメラの朴さんも陰影、濃淡を考えてくれています。
たぶん、折り紙を使ったカレンダーって、初めての試みだと思うし、大方の風景などのものとは大違いだから、喜んで掛けていただけると思っています。


ニューヨークADCにも出品を予定していますが、日本の折り紙は、いま海外でも関心がたかまっているから、ある程度の評価も期待できるとひそかに思っています。
秋元:そう、折り紙という発想自体がユニークだから、配布企業の識別感もはっきりとして、良い結果が返ってくるでしょう。
向井:日付の玉の扱いも工夫してみたんです。なじみが薄いっていう人もいるかも知れませんが、いまでは一家に一つきりのカレンダーってことはないはずです。日付けや曜日はカレンダー以外からも受信しているし、ほとんどのカレンダーは家庭ではむしろ、壁面の装飾、美術的鑑賞物として扱われています。その分、掛けていらっしゃる家庭の美意識を代弁してもいるんです。


【通販明細】
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メンバー誌巻末の[DCカードオリジナルカレンダー通信販売申込書]で。
1部 1,300円 11月14日(水)まで。