創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(140)レオン・メドウ氏とのインタヴュー(了)

(Mr. Leon Meadow Vice-President, Administrator Copy Dept. DDB

6分間は5分より長く、10分より短い、1時間の10分の1です、読むのは6分。しかしいつか、この道草について60分考えることになります。あるいは6日間…


レオン・メドウ氏とのインタヴュー
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第2,第3のバーンバック、オクルビーを期待する

chuukyuu「最後に、米国の広告の将来というようなことで、あなたのお考えを聞かせてください」
メドウ「このご質問がいちばんむずかしいですね。私の見るところ、広告というビジネスは、米国のビジネス社会全体が拡張拡大されるに伴って拡大成長するであろうと思います。近い将来にしぼんでしまうようなことは考えられません。
もちろん、広告技術上の変化は当然あるでしょう。
たとえば、第2次世界大戦前---ほんの30年ほど前の広告がどんなものであったかを振り返ってみますと、現在と比べて誇大広告が幅をきかせていました。誇大的な表現が、広告というもののひとつの核心をなしていました。
しかし第2次大戦のあとは、バーンバックさん、またオグルビーさんが現れて、広告というものの全体をすっかりひっくり返してしまって、新しいスタートをもたらしました。
いうならば、第2,第3のバーンバック、オグルビーが近い将来に出現することを、私は期待していいんじゃないかと思っています」

メドウ氏が監督したフランス政府観光局の雑誌広告の例


このような味のふるさとは、パリからわずか1日の小旅行のところにあるのです。お分かりでしょうか?

1. フランスでお決まりコースをはずれて旅したことがありますか? フランシュ・コンテへいらっしゃい。野原は緑、豚がシクラメンを常食にしている地方です。香料用アニスの香りのする町ポンタリエをお訪ねください。ここが食前酒ペルノーのふるさとなのです。旅の達人流の楽しい経験をしてください。
2. 幻想的な中世の城、運河の上の古い造りの家、忘れ去ることのできない聖堂---こんなのが見たかったら、アルザスストラスブールへドライブしてください。いまやあなたは、グルメの目で見ても最も新鮮な、最も香りのいい鵞鳥のレバーの地----にいるのです。伝説のパテ・ド・フォアグラです。
3. 美食家には、ラ・ブレス地方のルーバンの町がおすすめです。ここでは、魅力的なアーケードのある市場で、法律に従って育てら利他唯一の鶏が見られます。真白に近い肉をしたブレス雌鶏でです。
4. フランスを知るには、ブルゴーニュ地方を訪れなければだめです。そこではぶどうは一種の宗教です。世界で一番おいしいワインが飲めます。試食しながら有名なワイン街道を南下し、ディジョンで降りて、ほんもののマスタードを買いこみましょう。
5. ドラマティックなものにあこがれておいでなら、ガスコーニュは見落とせません。ここは、カラフルな谷と未踏の村とで背骨がガタガタするような地方です。村の一つに羊乳青かびチーズで有名なロックフォールがあります。チーズを寝かせている洞窟で試食もできます。
6. たぐい稀なフランスの寺院を訪れるには、シンャンパーニュ地方へ行かなければなりません。ここではほんとうとうに陽気な雰囲気にひたれます。世界一豊かなシャンパンの地下倉をお訪ねください。試飲用シャンパンを呑んで呑んで呑みまくってください。
7. カヤ葺きの小屋を通りすぎ---バラがその戸口にまでのびていたら、そこはノルマンディです。フランスでもっとも愛すべき地方の一つです。どこでもいいから、この信じられないほど甘い野いちごを摘んでみましょう。
8. コニャックという名の町があることをご存じですか! ブランデーの蒸気ですごくカッカときているので、マッチをすることすら危険な町だといわれていることも! ポワト・シャラント地方にある町です。城と運河と封建時代の土牢と絵のような港が織りなす前人未踏の地方です。


【chuukyuu注:】『ある広告人の告白』の著者で、オグルビー・ベンソン&メイサー広告代理店の代表者だったデヴィッド・オグルビー氏については、機会をみて紹介の予定です。