(35)VWビートルの広告(7)
前回のVWビートルの広告(6)では、検査員は8,397人、1日にハネられるビートルは220台でした。
6年後のこれでは、1,104人と225台になっています。
それだけ生産が増えて、増員、増量されたのですね。
もっとも、メキシコの工場の閉鎖をもって、ビートルの生産が終わったのは、さらに数年後でしたが。
こんなにたくさんの人がフォルクスワーゲンを検査しているんですよ。
あなたの車と新しいフォルクスワーゲンの間にある障害物はたったの二つ。
1,799ドル
そして、1,104人の検査員
値段のほうは、あなたの問題。
すべてのフォルクスワーゲンがフォルクスワーゲン工場を出る時に、オッケーをくだす検査員の人数は私たちの問題。
1人の人が私たちの工場の一人前の検査員になつてしまうと(それには3年かかりますが)、彼はちょっと違った人間になつてしまうのです。
つまり彼は、車の製造に関するどんな決定でも、そっくりくつがえしうる権限を手にするのです。
(この写真の中のだれか1人が「ノー」というと、そのフォルクスワーゲンはフォルクスワーゲンでなってしまいます)。
VWのどんな部品も、最低3回は検査を受けます。ということは、1台の車が工場からあなたの手に渡るまでには、合計で16,000回の異なった検査を通りぬけなければならないということです)。
いいですか、16,000回ですよ。
こんなふうにして、私たちは1日に平均225台のかぶと虫を失っています。
これで、あなたの注文したフォルクスワーゲンの新車が思ったよりも手間取ったとしても、理由はもう、ご納得いきましたね。
早くつくれないのではないのです。
きちんとつくろうとすれば、そんなに早くはつくれないということです。
C/W ジョン・ノブル
A/D ロイ・グレイス
"LIFE" 1969.05.30
"LOOK" 1969.06.10
It takes this many men to inspect this many Volkswagens.
There are really only two things that stand between you and a new volkswagen:
$1799
And 1,104 inspectprs.
The money is your problem.
The number of inspectors it takes to okay each and every Volkswagen that leaves the Volkswagen factory is ours.
You see, once a man becomes a full Inspector at our factory (and he'll spend three years doing just that), he becomes a different man.
He then has the power to overrule any and all decisions that ralate to the manufacture of the car.
(One "no" from any one of those gentlemen up in the picture and that Volkswagen is not a Volkswagen.)
Every single VW part is inspected at least 3 times. That means that before the whole cat can from us to you, it has to
go through 16,000 different inspections in all.
Think of that: 16,000.
We lose an average of 225 Bugs a day that way.
So if you ever had to wait a little longer than you cared to for a new Volkswagen, no you know why;
It's not that we can't make them fast enough.
It's just that we can't make them good enough fast enough.
C/W John Noble
A/D Roy Grace
"LIFE" 1969.05.30
"LOOK" 1969.06.10
これを読んで、2つのことに気づきました。
その1.DDBで説明を受けたことです。VWビートルは注文してからデリバリー(配車)されるまでに、ふつう、4か月かかる。そのあいだ「ビートルに決めてよかったんだ」と発注者に確信させる広告であること。
販売よりも確信に重点がおかれていると。
その2.ドイツの「ウルフスブルクの工場」でなく「フォルクスワーゲン工場」としているのは、メキシコなどでも生産していたから。