創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

03-41 clear-mindとopen-mind

もう一人、グリーン女史の答を紹介しましょう。
「そうね...(笑)特に教授方法といえるかどうかわかりませんが、問題があったら、とにかく、なんでも私のところへ持ってきて話し合いましょうといっています。なるべく私も、彼らの才能を育てるように努力しています。
で、まずいちばん初めに、私が彼らに与えられるアドバイスは、問題の核心をつかみなさいということです。あるサインメントが与えられた時に、そこで勝手にこれこそ問題であるといって、自分の好きな問題だけを見いださないで、真の問題を意識しなさいということです。
これは、この分野にだけいえることじゃなくて、すべての場合に当てはまることですけれど、とにかく成功するためには、いちはやく問題の核心をつかまなければなりません。
場合によっては、比較的簡単なものを見つけて、これこそ問題である、という間違った認識をすることがありますから、そうじゃなくって、常に何が真実の問題であるかということをつかむことです」。


これは、ローゼンフェルド氏がバーンバック氏の助言の中でいちばん印象に残っているものとして答えてくれたものと一致しています。つまり、幹部たちによって価値基準が再生産されているといえるわけです。
続いてグリーン女史は、
「あとは、私、情熱ということもいいます。その立場に、ある程度固執してやるということです。しかし、必ずしも独断的であれというのではありまでん。ひとつの興味をいだいて、それにこだわれというのではないの。
私が、比較的やかましくいうのは、あいまいなことはだめ、いつも正確であれということです。それから、私は、明晰さ、簡潔さを好みます。利口さのための利口さ、そういう小器用なやり方っていうのは、私は好きじゃないの。
非常にむずかしい組み合わせですが、clear-mindと、そしてopen-mindと、この二つの組み合わせがあれば、非常に望ましいと思っています。
私は、今までにここで接触してきたたくさんの人たちからすごくたくさんのものを得ていますし、それはとっても私自身のためになったとおもっています。
まあ、詳しいことは私の部下の人たちのところへ行って、皆さんの意見をお聞きになってくださいな...(笑)」
技術的なものの教育と精神的な教育とが混ざり合った状態であることを、この発言は示しています。