創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(365)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(62)


第?次編成かにあたるこのビートル・チームの打ち明け話---その後コピー・ディレクターになったジョン・ノブル氏、ニューヨークADCの「名誉の伝道入り」した故ロイ・グレイス氏のインタヴューやゴリラのCM撮影余話など、検索してお読みください。DDBといえども、クリエイター天国でないことがわかり、わが身を慰められます。





ロー・プライスに驚いて逃げ出さないでください。 


1,575ドル。
フォルクスワーゲンの新車の値段です。
でも、この車を買わない人もいます。その人たちはもっと高価なものが自分にふさわしいと感じているのです。これが私たちがつけた価格に対して私たちが支払う代償なのです。
この車を買うことを恐れる人もいます。その人たちは、私たちがどんなふうにしてこの車を安っぽく見せずに安い値段でつくり出すのか理解できないのです。
説明しましょう。
かぶと虫の形は毎年同じです。ですから私たちは毎年工場を直さなくてもすむのです。
外見に関して節約したものを、私たちはもっと多くの人にこの車を買っていただけるようにするための改良にそそぎます。
大量生産はコストを削減します。そしてVWは、史上に存在したいかなる車よりも大量に生産されました(今日までに1,000万台以上です)。
また、空冷式リア・エンジンも、ラジエター、給水ポンプ、ドライブ・シャフトを不要にしてコストの削減に一役買っています。
押しボタンで操作する奇抜な装置もついていません(押しボタンはドアについているだけです。しかもこの装置も手動です)。
フォルクスワーゲンをお求めになれば、払ったお金にふさわしいものが手にはいります。手にはいらないのは安っぽい装飾です。
無駄なものについては1円も支払うことはないのです。


C/W ジョン・ノブル
A/D ロイ・グレイス

"The NEWYORER" 1966.03.12


参照ロイ・グレイスとジョン・ノブルによる制作秘話クリック
ゴリラ撮影余話






Don't let the low price scare you off.


$1574.
That's the price of a new Volkswagen.
But some people won't buy one: They feel they deserve something costlier. That's the price we pay for the price we charge.
And some people are afraid to buy one:
They don't see how we can turn out a cheap car without having it turn out cheap.
This is how:
Since the factory doesn't change the bug's shape every year, we don't have to change the factory every year.
What we don't spend on looks, we spend on improvements to make more people buy
the car.
Mass production cuts costs. And VWs have been produced in a greater mass (over 10 million to date) than any car model in history.
Our air-cooled rear engine cuts costs, too, by eliminating the need for a radiator, water pump, and drive shaft.
There are no fancy gadgets, run by push buttons. (The only push buttons are on the doors. And those gadgets a re run by you.)
When you ,buy a Volkswagen, you get what you pay for. What you don't get is frills.
And you don't pay for what you don't get.


C/W John Noble
A/D Roy Grace

"The NEWYORER" 1966.03.12
"LIFE" 1966.0715

【cf.】
Grace and Noble on Chemistry, Honesty, and Controversy
from February 1970 "DDB NEWS"


DDB Goes Ape
from April 1970 "DDB NEWS”
"LIFE" 1966.07.15