創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(583)ウルフシュミット・ウォッカのシリーズ(3)

一昨日、昨日のつづき


[ニューヨーカー・アーカイブ]より


参照】このシリーズの解説は、ウルフシュミット・ウォッカのシリーズ ()←クリック


       ☆     ☆     ☆


「もしウオッカに味がないのだったら、ウルフシュミットがどれなのかを、どうやって見分けることができましょうか?」

"The NEWYORKER" 1961.05.13



"If Wodks has no tast, how come I can tdll which one is WOLFSHMIGT!"

[:W500]


何かをもっているウオッカがいいですか?   何もないほう?


ティナ・ルイスは質問します。「ウオッカに味がなく、なんの特徴もなかったら何が残るの? アルコールじゃない!」と。しかしウルフシュミット・ウオッカは芸術です。アルコールではありません。純粋に古い世界のウオッカを思い起こさせる味覚をもっています。それは、すべての飲物のいちばんいいところを高め、強め、ひきだします。スクリュードライバー、プラディ・マリー、 マテイーニ、 トニック、 ペパーウオッカなどにおいて、いずれもそうです。あなたの唇に残る言葉は一つ--- 「ウルフシュミット」だけ。ウルフシュミット・ウオッカは何かをもっています。わかりますか? ティナさん。


"The NEWYORKER" 1961.11.11



Tina Louise asks "If vodka has no tast, no nothing, what's left A1cohol!"
But Wolfshmidt Vodka is art, not a1cohol. It has the touch of taetoe that
rnarks genuine old world vodka. It heightens, accents, evokes the best in
every drink. Screwdriver. Bloody Mary. Martini.Tonic. Vodka and pepper.
Ete. (You have never tasted such delicoi Etceteras.) And all that remains
on you r lips is a word.... WoIfshmid. Wolfshmidt Woodka is something!
Right,Tina?


あたしのスクリュードライバーをお楽しみになって。
(ウルフシュミット・ウオッカでつくってあるんです)


びっくりしましたか? あなたも、ウルフシュミット・ウオッカと、味もなく,なんの特徴もないほかのウオッカとのちがいがおわかりになったでしょう。
そうです。それが本物なんです。だって、もしウオッカに味もなくて全くなんの特徴もないというのだったら何が残ります? アルコールです。
ウルフシュミットは芸術であって、アルコールではありませ。粒よりの,すばらしいウオッカ
あることのしるし、微妙な味わいを持っています。スクリュードライバーのいちばんいいところを強め、高め、ひき出します。オレンジの味がこれほどオレンジらしくなるのははじめてで
す。 トマト、オリーブ、オニオン, トニックもまた大いに元気づきます。そしてあなたの唇に残る言葉は。、たったひとつ--- 「ウルフシュミット」


     Taste my Screwdriver.
              (it's made with Wolfschmidt Vodka)


Surprised? You can tell the difference between Wolfschmidt vodka and vodkas that have no taste, no nothing. And that's all to the good, because if a vodka has no taste, no nothing, what's left? Alcohol. But Wolfschmidt is art, not alcohol. It has the touch of taste that marks genuine, old world vodka. It accents, heightens, brings out the best in a Screwdriver. Oranges never tasted this orange before. Tomatoes, olives, onions, tonics too are uplifted. And all that remains on your lips is a word. Wolfschmidt.


       ☆     ☆     ☆



畏友・金子秀之さんから、最新著『世界の広告たち』(研究社 2010.3.1 \3,000)を贈られた。
これが実におもしろいのである。


金子さんは、資生堂でTVコマーシャルの制作を長く担当し、その筋では数々の賞をとっているし、海外の優秀TVコマーシャルを紹介した著作も多い。
海外の秀作TV-CMの日本一の個人コレクターでもある。
ぼくもDDBものを中心にけっこう持っていたが、その比ではなく、膨大な数である。かねてから、TV-CMホームベージをつくることをすすめ、ぼくのDDBものも進呈していた。
ホームページのほうは、やっと目鼻がついたようだから、番組が発足したらURLをここに紹介できよう。


今度の新著は、版元が研究社ということでもおわかりのように、広告に使われている英語についても触れている。 
実物を手にして、金子さんが数年前から「出したい。出したい」と熱望していたわけがわかった。タイトルは「世界の広告たち」となっているが内容は[大人の絵本]といったほうがいい。


収録されている作品の一例を紹介すると、下のTabu ランジェリーの赤いほうのコピーは、



Want you rekindle an old flame? Try a blowtorch.
(やけぼっくいに火がつけば、ガス・バーナーをお試しを)
ガス・バーナーは赤いランジェリーの製品名。
意訳すると、「倦怠気味の彼を、この下着で燃えたたせよう」


黒いほうのは、
Just think what you'll save on heating billsw.
(暖房費のことを、よく考えるのですね)
つまり、逆張り。これで彼が燃えたてば、暖房なんか必要なしってわけ。


次のは、レストランの広告。おいしいから、ここまで食べつづけると。



広告にたずさわっている人はアイデアの源泉として、学生は英語のマスターのために、大人はセンスを磨く副読本である。