創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(412)アル・ハンぺル氏とのインタビュー(了)

       ベントン & ボウルズ社 取締役副社長兼クリエイティブ・ディレクター


当時、米国広告界のもっともホットな話題であり、その成否が注目されていた、ハンペル氏によるB&B社の創造的環境への革命の諸様相については、明日から『マジソン街』誌、1970年新年号の記事から転載します。
"Changre”「チェンジ」「変革」は、何時の時代にも注目に値いします。


<<アル・ハンぺル氏とのインタビュー(1)


ビジュアル・インパクトにセリング・コピーを!


chuukyuu 「コピーライターの未来の傾向はどう変わってゆくと思われますか?」


ハンベル「マーシャル・マクルーハンは、文章よりもビジュアル・インパクトのほうをよく語ります。そうです。たしかにそうです。


cnuukyuuサジェッションマーシャル・マクルーハンを米国に紹介し、一躍有名のしたサンフランシスコのコピーライター---ハワード・ゴーセイジ氏とのインタヴュー(←ここ、クリック)


でも、ただ絵だけで人びとを説得することはできないと思います。やっぱりすぐれた説得力のある言葉、セリング・コピーがそういった絵とともに必要ですよ。でも、そこまで私たちが現在いっているとは思えません。


今日の消費者に向かって投げっけられている汚ない広告メッセージの量を考えると、そこにはほんとうに立派な広告の欠乏があります。


私が言ってるのは、絵と言葉の結びつきこそがほんとうに人びとのところにたどりつき、行動させるということなのです。


その製品あるいはサービスがなかったら、ほとんど何をするのも不可能であるくらいにさせるのです。ライターやアートディレクタ-が、その製品がどんなに生活を簡単なものにし、幸せなものにし、あるいは健康的なもの、安全なもの、性的なものなどにするということを告げることによって、人びとにその製品を買わせるのです。


将来は『大きなセリング・アイデア』を考え出し、それを人びとの心を動かす説得力のある言葉で表現できるクリエイティブな広告人にかかっているのです。マーヤマネ、彼は作家であり批評家なのですが、最近言った言葉につぎのものがあります。


『生活とはすべてが歌や音ではないのです。人びとは言葉なしでは存在し得ません』


セリング・メッセージの価値を失墜させる芸術のための芸術、娯楽のための娯楽はいまになくなるでしょう。それはたいへんなお金の無駄使いであり、そのことは、だんだん多くの広告業者にわかってくるでしょう。それは厳しい道なのです。