創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(42)VWビートルの広告(14, 15)

継続は力なり---といわれます。そのとおりでした。
VWビートルの広告を掲示しつづけて(13)にいたり、撮影をどうしたかについて、ハッと教えられる反応がありました。
numapy さんとsemi さんからいただいた、慧眼のコメントが、それです。
調べたら、ご教示のとおりでした。キャンペーンが始まって半年経つかどうかの時期に、(14)が出ていました。



この腹底部を密閉するのはだれか? フォルクスワーゲンです。

ごく少数の人にしか知られていないフォルクスワーゲンの一面---それは腹底部です。
そこは、単に閉じられているというだけではなく、きっちり気密にするために、ゴムで密閉してあるのです。水に浮くんじゃないかといってくださる方もあるくらいの、気密さです。しかし、実用的な利点からいえば、VWは、ほかの車が立ち往生するような水の中でも、じゃぶじゃぶ進みます。
VWの腹底部の平らで滑らかな実態をしっかり観察してください。いかなる凹みも、空気抵抗をつくってスピードを減じさせるような邪魔ものも、ありません。抵抗値が低いのです。燃料消費が少なくてすむのです。
たいていの車は、ワイヤーとケーブルが露出しています。VWの腹底部にはワイヤーは出ていません。あるのは鋼製の保護版だけです。
フォルクスワーゲンは、大きくは変わらないので、その限りではほかの車のように面白くないのかも知れません。形が変わらない、だから性能も同じです。
フォルクスワーゲンのビルト・イン・ヒーターとデフロスターは、最初からボディの一部としてデザインされています。したがって、屋根から腹底部まで、1,565ドルの値段の中にふくまれています。




Who in the world seals the bottom? Volkswagen.

Here's a side of the Volkswagen that very few poeple know about: the underside.
It is not only enclosed, but sealed with rubber to make it practically airtight, So tight, we get persistent reports it will even float. But here's a more useful advantage: a VW sloshes through water that brings most traffic to
a standstill.
Notice how flat and asmooth the VW bottom is. No hollow pockets and hanging parts to trap air and slow you down. Less drag. Better gas mileage.
On most cars, control wires and cables are left ewposed. But you don't see wires under a VW; all you see the steel bottom that protects them.
A Volkswagen depreciates less than any other car happen to it. Its shape remains the same; its works inpact.
The Volkswagen's built-in heater and defroster are part of the body---designed into the car and therefore included in the price :$1,565 top snd bottom.


これで、腹底部の撮影はできます。あとはフックの消去・修正だけ。それにしても、車輪にフックをかけるとは気づきませんてした。

(14)の3年後くらいに、下の(15)が掲載されました。別のVW広告製作チームが(14)の文中から表現のネタを抽出したんでしょうね。



最後にバテるのがフォルクスワーゲン

ひどいドシャ降りのときですら、無料のパブリシティになることがあります。
新聞にしばしば、ホィール・キャップまで水をはねあげて水中を進むフォルクスワーゲンの写真が載ります(ほとんどの車が陽がさすまで待っているのに。)
私たちは、水に浮いているVWの写真さえ持っています(でも、お見せしたくありません。有料橋の通行料やフェリーボートの料金を倹約したくて、川を渡ろうとする人でないともかぎらないからです。)
私たちは、フォルクスワーゲンの腹底部を、自動車というよりは船に似せてつくりました。とはいっても、別な理由からですよ。
すべての作動部分を保護するために、腹底部をすっかり覆い、ゴムで密閉しています。
露出しているところは、ありません。
フォルクスワーゲンのどの部分(腹底部から上)も完ぺきにできているので、気密です(こうなるわけです、この15年間、同じ基本形を改良し、寛政させてきているのですから。)
もし、あなたのVWが水中でバテるとしたら、理由はただ一つ。
深みにはまってしまったということ。




Last one to conk out is a Volkswagen.

Whenever there's a bad rainstorm, we get some priceless publicity.
The newspapers often show a Volkswagen sloshing ahead in water up to its hubcaps(while almost everyone else is waiting sun to come out. )
We even have pictures of floating VWs.(We won't print them, though. Someone just might try to save a bridge toll and 'errty his VW accross a river. We don't recommend it.)
We do build the VW's bottom more like a boat than a car. But for a different reason.
We enclose the underside and seal it with rubber to protect all the working parts.
Nothing is left exposed.
Every part of the Volkswagen(from the bottom up)is put together so well that the finished car is practically air-tight.(It should be. We've been improving and refinig the some basic model foe 15 years.)
If you Volkswagen ever does conk out in flood, you can be sure of one thing.
You're in mighty deep water.


そしてまた、3年の歳月がすぎて、(12)の水に浮いたビートルのカラーの広告。


さらに3年経ったころに、(13)の腹底部をばっちり訴求。


これぐらいのタイムラグがないと、どんなにいい訴求でもうるさがられるか、あきられるのかもね。