創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(362)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(59)

3年6ヶ月---1,270余日、自分の都合では1日も休まずにアップしつづけてきました。
ところが、数日前のコメント欄にも予告した、(財)吉田秀雄記念事業財団から、同財団の季刊誌『アド・スタディーズ』に「米国マジソン・アベニュー黄金時代の広告」(仮題)を寄稿する締め切りが近づいてきました。

ひょっとしたら、その執筆のために1週間ほど、このブログを休載するかもしれません。
いまから、ご了解をとりつけておきます。




フォルクスワーゲンは、腹底部も珍妙ですよ。


私たちは今、フォルクスワーゲンの下部から語りかけています。
あんまり見られた図ではありませんね。
大きな鋼板が邪魔していて残念です。さもなければ、フォルクスワーゲンのすべての仕組みをお見せできるのですが---。
でもペテンにかけたわけではありませんから。
この鋼板がVWの腹底部です。ほかの車は絶対にこうなっていません。
これがすべてものからVWの中枢部分を守っているのです。時間も含めてね。そして、VWの長命さの最大の理由の一つが、この鋼板なのです。
VWの腹底部は、あとで考えてつけ足したものではありません。これもデザインのうちなのです。車は腹底部を密封され、腹底部は車に密封されています。
だから、VWは本当に気密なのです。水に浮くフォルクスワーゲンについてのうわさも、ただのうわさではありません。
VWの珍妙な上部と珍妙な腹底部には、共通点があります。両者ともフォルクスワーゲンがその真価を発揮できるようにしているのです。
この二つを変えてしまうのは簡単でしょう。
けれども、私たちはわが道を行くつもりです。


C/W ボブ・レブンソン
A/D レン・シローイッツ

"The NEWYORKER" 1965.11.30





Even the bottom of a Volkswagen looks funny.


We are speaking to you under-neath a Volkswagen.
Not much to look at, is there?
Too bad that big seet of steel is in the way. Otherwise, you could see all of the Volkswagen's works.
But don't feel cheated.
That seet of steel is the VW's bottom. No other car has anything quite like it.
It protects the VW's vital parts against everything. Including time. And it's one of the big reasons why VW'slast so long.
The VW's bottom was no afterthought. It's a part of design. The car is sealed to the bottom and the bottom is sealed to the car.
Which is why a VW is practically air-tight. And why some of the rumors about floating Volkswagens aren't just rumors.
The VW's funny-looking top and funny-looking bottom have one thing common: they both work to make the Volkswagenas good as it is.
It would be easy enough to change them.
But we think we'll leave bad enough alone.


C/W Bob Levenson
A/D Len Sirowitz

"The NEWYORKER" 1965.11.30