創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(31) ロン・ローゼンフェルド氏のインタヴュー(5)


ライターは、自分自身に忠実であれ


chuukyuu「今日の米国で、才能豊かなコピーライターであれば、どんな代理店で働いていても、良いコピーが書けると思いますか? あるいは、働いている代理店によると思いますか?」


ロン「働いている代理店によって、大きく左右されると思いますね。
知っている非常に才能のあるコピーライターの一人は、ある代理店で、良い仕事が与えられなくて苦しんでいます。その代理店の経営者が、良い仕事ということに対しての価値基準を持っていないからです。そして、その経営者には、良い作品を売り込む能力が欠けているからです。だから、そこでは、全然違うものがライターに要求されるわけです。
逆の例も知っています。そのライターは、その代理店ではあまり良い仕事をしなかったのですが、代理店を移ってから、とたんに良い仕事をしはじめたのです。
そのライターに向いていない仕事をさせることで、非常に損をしている代理店が多いでしょうね」


chuukyuu「良いコピーを書くための、考えをきとめてくださいませんか」


ロン「まず第一に、自分自身に忠実であれ…ということですね。
それから、こまかいことにも気を配る…ということです。問題を探りだす。そして製品を十分に理解する。自分ひとりで書く…ほかの人の意向を気にしない。その結果が正しくないかは、その結果にまてばいいのです。自分が正しいアプローチを持っていて、商品に対する知識を十分に持っていれば、あとは自分自身に対して忠実であればいいのです。もちろん、その場合に、熟練した技術(skill)を持っていることが必要条件であることは言うまでもありませんるね。
私は、自分自身のやり方に忠実であるということが、もっとも大切だと思います」


>>(了)へ続く


DDBのみごとなコピーライターたちとの単独インタヴュー(既掲出分)

デビッド・ライダー氏とのインタヴュー
(1) (2)

ロバート・レブンソン氏とのインタヴュー
(1) (2) (3) (追補)

ロン・ローゼンフェルド氏とのインタビュー
(1) (2) (3) (4) (5) (了)

フィリス・ロビンソン夫人とのインタヴュー
(1) (2) (3) (4) (5) (6)

ジョン・ノブル氏とのインタヴュー
(1) (2) (3) (4) (了)