創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(120)スタンレイ・リー氏とのインタヴュー(了)

     (DDB,副社長兼コピー・スーパバイザー)

スタンレイ・リー氏とのインタヴュー(1) (2) (3)

バーンバック氏の忠告---空想力を浪費するな

chuukyuu「バーンバツクさんがこれまで話してくれたことの中で、最も印象的な言葉は?」
リーバーンバックさんが話してくれた助言---これは、あの人がほかの人も同じ助言をもらっていると思うのですが---。
一言で言ってしまうと、『鍛錬』ということです。あなたが寛大になることを望み、広告がアートのひとつの形式であると言うのなら、それならばそのアートは、すべてのアートの中でも最もよく鍛錬されたものです。そうでなければいけません。見当違いのためのスペースや時間などは、どこにもないのです。
これは、アドバイス以上のものです。規範といってもよいでしょう」
chuukyuu「米国の広告の現在と将来についてのあなたのお考えは?」
リー「現在の米国の広告は、ユウウツそのものです。この傾向は、当分変わらないでしょうね。
(さらに将来のことを言えば、広告というものは、よりむずかしくなる傾向にあると思いますよ。というのは、商品がますます画一化されてくるからです。ですから、ある商品をほかのものと違っていると売り込んでいくことがむずかしくなるんじゃないかと、ぼくは思います。
代理店の中には、商品そのものをつくりかえてしまう方向に行くんじゃないかと思います。そうすることよって、その商品がほかの商品と違ったユニークな面を持つようにするわけですね。メリー・ウェルズが、ブラニフ航空の飛行機の色を変えた---なんていうのは、そのひとつの例ですね。これは、まあひとつの表面的な例にすぎませんが---。実際問題、どんな色のジェットに載ろうと、たいした違いはありませんからね。しかし、広告代理店が商品のイメージを変えたという良い例ではあります。
ぼくの希望は、広告代理店が商品の性格を変えるという重要な機能をもつところまで行くということです)。


DDBのみごとなコピーライターたちとの単独インタヴュー(既掲出分)
デビッド・ライダー氏とのインタヴュー
(1)(2)

ロバート・レブンソン氏とのインタヴュー
(1)(2)(3)(追補)
ロン・ローゼンフェルド氏とのインタビュー
(1)(2)(3)(4)(5)(了)
フィリス・ロビンソン夫人とのインタヴュー
(1)(2)(3)(4)(5)(6)
ジョン・ノブル氏とのインタヴュー
(1)(2)(3)(4)(了)
ポーラ・グリーン夫人とのインタヴュー
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(了)