創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(508)Best 5 ads of Levy’s Bread that chuukyuu chose

1949年にオペレイターも入れて10人ほどで創業したDDBの2番目にやってきたクライアント。
媒体は、ニューヨーク市の地下鉄 駅貼りと店頭ポスターのみ。


バーンバックさんの述懐。
この会社はリヴィ・ライブレッドというパン屋さんだったが、私どもに広告を依頼してきたときは破産寸前でした。

2度おいしいリヴィ
(ほんとうのユダヤ風ライ)



この広告のうたい文句は「リヴィのライブレット」でした。
私はそのときリヴィのユダヤ風ライブレッドと、《ユダヤ風》を入れろと言いました。


ところがクライアントは《ユダヤ風》と入れるのを強固に反対したのです。なぜなら、ニューヨークにはユダヤ人ぎらいがたくさんいるので、その人たちに悪感情を抱かせて、これを食べてもらえなくなると恐れていたのである。

chuukyuu注】60年前のニューヨークの現実です。いまは、ニューヨーは、「ジュー(ユダヤ教徒)ヨーク」と皮肉られるほど。


ところが、リヴィというのはユダヤの名前で避けられない事実なので、私は《ユダヤ風》ライブレッドと入れたほうがいいと、押し通した。
ユダヤ風》と入れることによって、人びとはパンの種類をこまかくしらせてくれる親切な広告であると感じとり、たくさん食べてくれるようになった。


artdirector Bill Taubin
copywriter Bill Bernbach & Judy Protas


私どもが広告の依頼を受けてから1年ほどすると、非常に売り上げが上がり、ニューヨークでいちばんたくさん食べられるライブレッドになりました。





リヴィのパンを好きになるのに、
ユダヤ人にならなきゃ---なんて法はありませんよ。



chuukyuu注】ニューヨーク市警の警官には、アイルランド系が圧倒的に多い。




実物はカラー



実物はカラー
(この子、米国のお金持ち学校の制服とおもうのですが、ご存じの方、ご教示を)


偉大な広告、傑出した広告はないということです。そのときの問題と、それに関連性を持った広告をしなければいけないのであって、特別に傑出した広告はないということ。
悪い広告は事実をいわない広告、消費者から尊敬されない広告です。
あなたは広告で事実を述べればいいのであって、消費者はその事実から演繹して、優秀な製品であるという結論を出してくれるのです。


1966年に来日し、日経ホールでのスピーチを記録した『日経広告手帖』より


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chuukyuuより】この[10選]は、11月20日のTCC(東京コピーライターズクラブ)でのchuukyuuのスピーチで資料として映写されるものです。スピーチのあと、その会場でCDとして販売されます。1000円前後の実費です。というのはスピーチへの参加は、TCCの会員にかぎられているため、会員以外の社内のクリエイターの方々にもスピーチの概要を知っていただくとともに、クライアントとの歓談のたたき台としていただけると、いささかでも貢献するのでは---と思いついた結果です。


CDは、事前に予約されたご希望者の数しか持参しません。

ご希望の方は、このブログのコメント欄に、その旨、お書き込みください。ハンドル名で結構です。

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TCCのミーティングに不参加の方、およびTCC会員以外の方で、CDをご希望の向きは、
こちらのページをご覧ください。