創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(575)TVコマーシャルで大切なもの(2)

昨日のつづき

TVコマーシャルで大切なもの(2)

DDBテレビ制作部長(当時) ドン・トレヴァー氏



シンプルについては、これまで、あとの2つのコマーシャルはとてもシンブルなデモンストレーションでした。
デモンストレーションは、あなたの扱う商品が他の商品に勝っていることを示すのに一番いい方法のひとつです。
もし幸運にして、その商晶が視覚にうったえるほどの違いをもっていれば、 うまくデモンストレーションをすればひじように効果的です。


S.O.Sの『スクイズ


(洗剤を含んだ金網タワシ(スチール・パッド)を2ヶ、水をはった透明ボールに入れて比較してみせる)



アナ「S.O.Sに含まれた洗剤は長い使用に耐えるもの。ここに取り出しました2ヶのスチ
ール・パッドをくらべてみましょう。
しぼって、しぼって、もっと、 もっと、片方の洗剤がなくっても、S.O.Sにはまだたくさん残っています。S.O.Sの洗剤はどのス
チール・パッドより長持ちするのです」


さて、なぜ電動歯ブラシを買ったほうがいいか、シンプルに、グラフィカルに説得力のあるやり方で示したひじょうに安あがりなコ-シャルをひとつ。
このコマーシャルには撮影時間がたった2時間と、黒色のボール紙が1枚必要だっただけで、それでいてコマーシャルのもっとも重要な要素はコンセプトであるという、私の説を明確に立証してくれました。


ブロックソデントの『20ストローク


(黒い画面に、片方はブロックソデント、片方は人の手による日常の歯ブラシが白い歯みがきをつけていく。ブロックソデントは10秒でおわるのに、手による磨きほうはえんえんとつづけている)


【chuukyuu補】画面を想像する補助として、このアイデアの基となった印刷広告を参考までに。
コマーシャルの現物が手に入れば、入れ替えます。


これは、もっと多くのクリエイターに報せたいしとおもったら、まず、身近の友人にアクセスをすすめましょう。


人間 対 機械


人力には限界があります。
もちろん、あなたは、考えたり、笑ったり、愛したりできます。機械にはできっこありません。でも人間にできなくて機械にできることもあります。
1秒間に平均120回も歯ブラシを上下させるなんて、あなたにはできっこありませんね。
ブロックソデントにはできます。この点では、人間よりも優秀です。
毎朝の歯を磨く楽しみを、自動化で奪ってしまいました。
あなたが歯ブラシを上下させたほうをみてください。たったの1回ですね。
ブロックソデントは、ご覧のとおり、上下の連続運動で、手だと3分はかかるところを、1分間ですませてしまいます。
人間の負け、ブロックソデントの勝。


アートディレクター:ヘルムート・クローン
コピーライター:ルディ・フィアラ


さて、ひとつの商品が他のものを打ち負かすデモンストレイション・コマーシャルの古典をお見せしましょう。
これは私がこれまでに見たデモンストレイション・コマーシャルのなかでも最高のものだと思います.


1967年のカンヌ映画祭でベスト・コマ一シャルに選ばれていますから、皆さんも同じ意見なのでしょう。

バーリントンの『ダンス』



ユーモアも、もっとも重要な武器のひとつです。
総じて退屈でものすごいの、あくびの出るようなTVコマ-シャルの大軍を押しやってしまう方法です。
ユーモアは聴視者にクスクス笑いを起こさせ、その商品に親しみを覚えさせ、その商品の名前を憶えさせ、腰をあげて買いに行かせてしまいます。


しかし、このユーモアはたいへん危険な武器にもなります。
1枚の紙やストーリーボードでよく見えたものでも、フイルムになるとうまくゆかないこともあり得ます。


ときには、ジョークがあっても1度見てしまえば、もう、おもしろくなくなってしまう性質のものもあります。

果たしてそのギャグは、TVで10回見てもまだおもしろい性質のものでしょうか?


効果的につかわれたユーモアは、とてもすばらしい武器です。
でもそれが吐き気をもよおさすようなものだったら、ひどいことになります.


ユーモアは刺激剤です---そしてテレビの刺激剤はプリントのそれよりも、より危険にもつながるのです。
つまり雑誌の1ページ広告ならとばされてしまうことがありますが、テレビの前でとってもいい気分になっている時に、愚劣な同じコマーシャルが2度も出てきたら、不幸にも無視することはできないのですからね。
ただイライラさせられるだけですよ。
さて、すぐれたコマーシャルに必要とされるユーモア、シンブル、すばらしい出来上がりの偉大なアイデアという全要素竜備えたコマーシャルのいくつかをお目にかけましょう。



これは、もっと多くの人---クリエイターあるいはクライアントと共有したほうがいいとおもったら、まず、その人たちにアクセスをすすめてみましょう。


>> (了)