創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(576)TVコマーシャルで大切なもの(了)

TVコマーシャルで大切なもの(3)


DDBテレビ制作部長(当時) ドン・トレヴァー氏


クラッカー・ジャックの『ポーカー』


(ポーカーをしている男たちが、クラッカー・ジャックをまわして食べている。喜劇俳優のジャック・ギルフォードが扮する男だけが食べないうちに、箱が空になってしまう。ジャックはみんなに笑われるや、ポーカー・テーブルをひっくり返す)



アナ「一箱しかないクラッカー・クラッカー・ジャックをみんなで回しながら---なんていう時。
ことにゲームの最中だったら、みんなで仲良くやらなくっちゃ」


【chuukyuu補】画面を想像する補助として、別のTV-CMをご参考までに。
コマーシャルの現物が手に入れば、入れ替えます。

『屋根裏』(1970)


(音声不調)


もう1本---すでに、何度もご覧になった[寝台列車]。

http://www.youtube.com/watch?v=o4t3WnOYe-Y&NR=1

(↑クリック このカラーのTV-CMは埋め込み無効設定のためリンクのみ)


参照】←クリック


ワールプールの『免職』

(怠惰なサービスマンの腕章をはぎ取って、みんな去っていく。広場にボッンとひとり残されてうなだれているサービスマン)



アナ「君の職務怠慢は、いったいなんたることだ。お客さまからの苦情の投書がすでに13通、仕事を放り出してポーカーをするなどとはもってのほか。 しかも君の修理ときたら完全なほうが不思議なくらい。君には失望したよ。ワ-ルプールのサービスは優秀であれ
ばこそ多くの方がたからど愛厭いただいているというのに。去年1年間だけで47人もが解雇された理由も推して知るべし、ワールブー
ルのサービスマンとして、考え直す必要があるのではないかね?」


コマーシャルにおける。


シンプル、
デモンストレイション
ユーモア


の例を見てきました。


さて聴視者に訴える、たぶん、 もっとも重要な方法が、もう一つあります。
すなわち、感情に訴えるやり方です。
そのためには、私たちはムードをつくり出さねばなりません。
彼の心の糸をぐいとひくようなのを創れば、たぶん、彼は財布のひもをゆるめるでしょうからね。


ポラロイドの『動物園



アナ「人生には、記録しておきたい一瞬がありますね」


A/D Bob Gage
C/W Phyllis Robinson


もう一つあなたの扱っている商品を売るのにいい効果的なやり方は、トレードマークを開発することです。
簡単に見分けのきく生きたトレードマークさえあれば、勝利は間違いなしです.

さて、ホアン・パルデリッソの登場です.
(訳注・ホアンはもっともコロンビア人らしい人物だが、実は俳優)


コロンビア・コーヒーの『ROMAN』
(コロンビアの山道を、ロバにコヒ一豆の袋を楕んで下りてくるジュアンにかぶせて、
「米国にはたくさんのコーヒー豆が輸入されているが、一度コロンビア・コーヒーを飲むと、ほかのコーヒーが飲めなくなる」という。



【chuukyuu補】画面を想像する補助として、印刷広告をご参考までに。
コマーシャルの現物が手に入れば、入れ替えます。



ホアン・バルデッツと彼のロバの、頑固一徹ぶりときたら、それはもう---。


ホアンは、コロンビアの標高5,000フィートもあるアンデス山中に、finea(コーヒー園)を持っているんです。
そこは、地味が豊かです。 高湿です。 コロンビア・コーヒーの並はずた風味はこの2つから生まれてくるのです。
3番目? それは、裁培者がホアンのように頑固一徹だからです。
ホアンは自分のところのコーヒーの木を、ジリジリと照りつける太陽に向けて植えているんですよ。しかも、木影をつくるべく、高い木を---(陰で育った下の木のコーヒー豆から顕著な風味が引き出せるのです)。
熟しきる前の豆を採るくらいなら、finea(コーヒー園)のほうをあきらめた方がましって思っています。だから彼は、コロンビアのコーヒーのしきたりどおり、完熟した粒だけを、1粒1粒、手できびしく選んでは採集しているんです。
世界一の風味のコロンビア・コーヒーですからね、そうするだけの価値はあるんですよ。
コロンビア・コーヒーは独特の風味を誇っているブランドんなんです(コロンビア・コーヒーをブレンドすることで相手は一層引き立ちもます)


C/W Leon Meadow
A/D Hlmut Krone


新しいクライアント---ブイトーニのために、つい最近、新しいトレード・マークを創造しました。インテリジェントなイタリア人のビジネスマン---ブイトーニ伯爵です。クラッカー・ジャックのギルフォード、コロンビア・コーヒーのホアン同様、きっと、人気を得、成功すると信じています。


ブイトーニの「パスタ」

(ブイトーニ伯爵のところへ、スパゲティを持参した料理人が訴える)



料理人「うちのブイトー二・スパゲティは、ほかのにくらべて蛋白質も脂肪も多いのです」
伯爵「グッド」
料理人「少ないのは澱粉だけです」
伯爵「グッド、グッド!」
料理人「でも原料費がかかって,値段も高くなってしまいました」
伯爵「ファンタスティック!」
スーパー・インポーズ=お金をかけなきゃ、よいものはつくれない」


以上、私たちのコマーシャルのサンプルをお見せいたしました。
いったい秘密は何なのかとお尋ねかもしれません。
実は秘密などないのです。
DDBでは、真実味にあふれていることと信頼のおける広告を固執しています。


私たちは、実生活の中で人びとと関係をもつようつとめています。


暖かさと感動を示そうとつとめています。
私たちは今、シンブルと信頼性、ユ-モア、人間性というすぐれたコマーシャルの要素をお見せしました。


頁実性に富み、信頼におけるデモンストレイションを通じて聴視者に近づく方法、彼らのムード、感情に話しかける方法、そしてトレードマー
クがあなたのために何をしてくれるか、などをお見せしました。
しかし、ここで疑問が起きてきます。
DDBでは、どうやってコマーシャルをつくっているか、です。