(107)ポーラ・グリーン夫人とのインタヴュー(6)
(DDB, Vice President, Management Creative Supervisor)
『みごとなコピーライター』(誠文堂新光社 ブレーンシリーズ 1969.7.15)は、雑誌『ブレーン』に12ヶ月にわたっての連載をまとめた。そのとき掲載したのは、テープから起こしたインタヴューの英文を訳した日本文だけだった。
『ブレーン』には載せなかったテープ起こしの英文は、別途、ご当人へ送って校正をお願いした。
インタヴューが載った『ブレーン』がその前に発行されていると、それも送った。と、とても対応がよくなった。対応のよさは、英文の校正の入念さとなった。太平洋をへだてた国のクリエイターたちに、自分の発言が読まれていることが実感されたからであろう。
名をなすほどの人は、やはり、名誉心も人並み以上に強いのだな---と感じたものだった。
これに味をしめて、もう12人---『劇的なコピーライター』 (同 1971.3.10)を企画・実現した。
両著に収録した24人のうち、5人はすでに紹介ずみ。ポーラ・グリーン夫人は6人目(もっとも、この順番にはなんの企みもない)。
ポーラ・グリーン夫人とのインタヴュー(1) (2) (3) (4) (5)
仕事と家庭を両立させるコツ
chuukyuu「主婦の仕事とライターの仕事とをうまくやっていくコツは?」
グリーン「わたしは、本当に主婦の立場と仕事がうまく両立しているかどうかということについては、まったく自信がないの(笑)。でも、もし、そこに何か秘訣があるとすれば、まず第一に、とってもすばらしい夫がいてくれるということ。その次には、信頼できるハウスキーパーがいること。何年間もお世話になっています。
その前に、基本的には仕事と家庭が両立するかとということになりますと、それは、わたしの収入が上がればそれだけ仕事と家庭がとは両立することになるんじゃないかと思っています。収入が多くなると、経済的にも生活が安定し、それだけ心配の種が少なくなって、細かい家庭の仕事でも、いろんなことがお金で可能になります。
そう、いろんなことを決める時に、お金のことをあんまり考えなくてもいいので、早く決められますし、それだけ心配の種が少なくなりますね。
ですから、経済状態がよくなれば、仕事と家庭との関係も非常によくなると思います。何か、この方法じゃまずいなと思っても、お金がなければそれを改善できないでそのまま放っておかなきゃならないということがおきますが、お金によってかなり解決できます。
それからまた、すてきな子どもがいますが、まあ、いずれにしても、わたしのまわりにいる人たちかがいろいろ協力してくれるので、わたしが仕事と家庭を両立させていられるんじゃないかと思っているのよ。
また、わたしはできるだけ家庭にいるように心がけています。仕事に関係ないような社交的なおつきあいは、できるだけ避けるように努めています。もちろん何か問題がある時は、夫と相談します。
でも、はっきりしたことは、わたしには、あんまり自信がないので、もし、わたしの夫や子どもに直接お聞きになつていただければ、わたしが仕事と家庭をどうやって両立させているか、させていないかということがお分かりになるんじゃないかと思います」
この広告は茶化していっているが、2位のエイビスと1位のハーツが演じたのは、まさに、広告によるレンタカー戦争だったといえる。もちろん、人びとは面白がって観戦していた。
Avis interrupts the rent a car to bring you a message on vacation rates.
バケーション料率の告知を
お届けしたいので、
レンタカー戦争を
エイビスは、一時休戦します。
私たちはこの夏、「アメリカを見よう」企画を展開します。
手短にいうと、新プリムスを1週間99ドル---しかも1000マイルまで無料、お渡し時の満タン分も無料、というサービス。
例えば;ラスベガスからグランド・キャニオンに立ち寄り、フェニックス経由でロス---995マイル、ぴったし7日間。経費は〆て99ドルとガソリンが21ドル(エアコンつきだと10ドル増し)。通常の料率では考えられない値段ですね。
1週間以上、1000マイル以上の場合の計算はちょっと混み入りますから、当社か旅行代理店にお問い合わせください。
オーケイ、No.1、これが終わったら戦闘再開だよ。
ポーラ・グリーン夫人との、もう一つのインタヴュー記録。
いわゆる「DDBルック」を語る(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (了)
これまでにアーカイブしたエイビス・キャンペーン
[DDBの広告]エイビス
(01) (02) (03) (04) (05) (06) (07)
DDBのみごとなコピーライターたちとの単独インタヴュー(既掲出分)
ロバート・レブンソン氏とのインタヴュー
(1) (2) (3) (追補)
ロン・ローゼンフェルド氏とのインタビュー
(1) (2) (3) (4) (5) (了)