(108)ポーラ・グリーン夫人とのインタヴュー(7)
(DDB, Vice President, Management Creative Supervisor)
『みごとなコピーライター』(誠文堂新光社 ブレーンシリーズ 1969.7.15)と『劇的なコピーライター』(同 1971.3.10)で、当時、米国でもっとも輝いていた24人を収録した。2著からこれまでに転載したのは、インタヴュー時のDDBerだった5人。グリーン夫人は6人目。(もっとも、この順序には、なんらの企みもない。なお、既済の5人のリンクは文末に掲出)。
ポーラ・グリーン夫人とのインタヴュー(1) (2) (3) (4) (5) (6)
アートディレクターとうまくやっていくコツ
chuukyuu「アートディレクターとうまくやっていくコツは?」
グリーン 「コツかがあるかどうかということはちょっとわからないんですけれど、もし何かあるとすれば、相手がアートディレクターだからというんじゃなくて、誰とでも、要するに人とうまくやっていく秘訣と同じものじゃあないかと思います。
まず第一に、彼らも人間です。で、普通の人間づきあいということからはじめていかなければならないことだと思います。アートディレクターたちも、それぞれ、その時どんなものが必要なのかということを持ってくるわけです。そして、たまたまわたしのものと彼らの要求するところが合えば、それでいっしょに仕事をすることになるんですが、わたしの立場から言えるものは、確かに女であるってことで、ある程度有利なことがあるかもしれませんね。
というのは、アートディレクターたちと理解しあう時に、お互いが必ずしも競争的な立場に立たなくてもできる、つまり、対抗しあうって立場に立たないで話し合いができるということです。仲間という意識のほうが強いわけですね。それは、わたしが考えていることですが、男の人のほうでもやっぱりそう思うかもしれませんね。こちらが女性であるということで、なごやかな雰囲気で話し合いができる、という面があるかもしれません。
秘訣というほどのものは特にありませんが、アートディレクターたちをいい仲間、いい友だちとしてつきあうのがいいんじゃないかしら。そして、お互い同じ気持ちをもった人間同士が、協力して仕事をするんだという考えに立つことじゃないかしら。エゴがありすぎると、うまくいかないと思います。
この質問もむずかしくて、わたしはあまり自信をもって答えられないんですけど、そんなふうに考えていつもやっていますわ---(笑)」
We try harder シリーズのむずかしいところは、度かさなるにつれて衝撃力が弱まっていくこと、さらには負け犬宣言をイヤ味に感じる者も出てきかねない---そのあたりの按配であろう。
Who do you think of first when you think of rent a car? Certainly not Avis.
レンタカー---って時に、
あなたがまず
思いうかべるのは?
そう、エイビスじゃない。
家庭でだってそうですものね。
おやつはジェロー、冷蔵庫にはコカ・コーラ。写真はコダック。
私たちではない。エイビスはレンタカー業界で2位だし、あなたが最初に思い浮かべた大手の後塵を拝しています。
だから、私たちはもっと一所懸命にやってます。いちどでも私たちの仕事に不満を感じた方は二度と帰ってきてはくださらないんです。
(私たちが用意するのは、真新しくってすてきって、世界中で騒がれているフォード車です)。
もし、間違って私たちに声をおかけになったのなら、別の小切手でお返しします。
でも、私たちに声をかけてはくださいませんよね。
さ、どうなさいます?
【補】図版の小切手は、支払い宛名のハーツを消して、エイビスとしている。
ポーラ・グリーン夫人との、もう一つのインタヴュー記録。
いわゆる「DDBルック」を語る(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (了)
これまでにアーカイブしたエイビス・キャンペーン
[DDBの広告]エイビス
(01) (02) (03) (04) (05) (06) (07)
DDBのみごとなコピーライターたちとの単独インタヴュー(既掲出分)
ロバート・レブンソン氏とのインタヴュー
(1) (2) (3) (追補)
ロン・ローゼンフェルド氏とのインタビュー
(1) (2) (3) (4) (5) (了)