創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

エイビス06

社内モラルの点でも、営業成績の面でも、エイビスに追い上げられたハーツは、「トラと猫」の広告しかつくれなかった広告代理店との契約を打ち切り、小DDBと呼ばれていたカール・アリー社と契約しました。


それでできた広告が(下)。1位にふさわしく雑誌2ページ、エイビスを真似て色刷りはなし。



ここ数年来、エイビスはハーツが1位だと言いつづけてきました、
いまこそ、その理由をお話しします。


(抄意訳)
あなたが借りたいところで借りられる。
お届けする。
車種選びができる。
こんなサーヴィスが受けられる。
・・・ということを、これでもかというくらい、長々とのべている。


このハーツの広告が出たあと、コピーを書いたジム・ダーフィ社長をニューヨークのカール・アリー社に訪ねました。
そして、聞きました。


「ハーツの広告は、広告自体がすべてを物語っています。エイビスは長年にわたって、ハーツの客扱いが粗雑だと暗示しました。
この広告は「レンタカー大戦争」として有名な対決シリーズの第1弾でした」


もちろん、エイビスの2位キャンペーンがはじまって以来、これに対抗する有効な広告を、どうつくればいいか---アメリカの心あるクリエイターたちは、あれこれ、自分の中で悩んではいました。


(ただ、カール・アリー社J・ダーフィ社長がつくったように、自社側の利点を、なんのユーモアも交えないで、いかにも第1位って姿勢でいいきればいいってものでもない---とは、おもっていました。
見せ方ってのも大切です。業界1位の企業に勤めている人の中には、ハーツの態度に声援を送ったかもしれません。しかし、業界1位の企業に勤めている人と家族は、北米全人口の1パーセントいるかいないか、でしょう)



No.1が、エイビスにこだわる
のはなぜでしょう?


最近、No.1の広告が変わったのにお気づきと思います。(少略)
なぜでしょう?
No1の売り上げが減りつつあり、エイビスのそれが伸びつつあるからです(最近の主要26空港の統計による)。
もっと一所懸命にやります---は、成果をあげつつあるのです。(少略)

もし、エイビスがこの調子で努力していけば、1970年には、私たちは、No.1になっていることでしょう。


しかし、この広告による「レンタカー大戦争」は、どこかからの干渉により、言い合いをやめました。


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