↑今日までの累計です。
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まるで憑（つ）かれたみたいに、毎春・秋、ＤＤＢに通いつめていたころだから……１９６７年から１０年ちょっとのあいだの、いつかだった。
尊敬しているＤＤＢのコピーライターの５人のうちの１人―――ロン・ローゼンフェルド氏をインタヴューし、自選の作品を２点、あげてもらったことがあった。
うち、１点がクレアロールの男性用染髪用剤〔グレイト・デイ〕であった。
拙著『みごとなコピーライター』（1969.07.15 ブレーン・シリーズ 誠文堂新光社）より
chuukyuu「これまでに手がけた広告のうちで、最もお気に入りを2点あげてください」
ロン「何年か前にやったジャマイカ観光委員会のシリーズですね。
もう一つは、白髪染めのグレイト･デイです。
グレイト･デイというのは、男性専用の白髪染めです。
これは非常にむずかしかった。
これの問題は、たいていの男性が、髪を染めるなんて、男のすることじゃないって考えていたことです。
実際、クライアントからそう聞いた時には、私もそう思ったんです。
しかし、そのあとで考えなおしてみたんです。
男が髪を染めて若く見せる……元気に見せる。
これは、良い洋服を着たい、良いシャツを着たいと考えるのと同じことではないか……というふうに。
ですから、男性が髪を染めることは、決して悪いことじゃない、
女性的じゃないように訴えればいいと思いついたのです。
で、この広告ですが、モデルの毛髪の半分をグレーのままにしておき、半分を黒く染め、
そのヘッドライン（見出し）で、
「グレーの部分を手で隠してごらんなさい。どんなに若くなるか、お分かりですね」
とやったのです。
さらに、
「黒い髪を隠してごらんなさい。老けちゃうでしょう」
とつづけました。手を交互に置き換えて、
若い/老ける/若い/老ける……を実感してみるようにすすめました。
このコピーのスタイルですが、古いスタイルです。
長いコピーです」
chuukyuu「メール･オーダー広告式のコピーだったとおっしゃりたいのでしょう？」
ロン「ジョン･ケープルス式のスタイルです。
こういうスタイルは、過去20年か30年は使われなかったスタイルです。
私があえてこのスタイルのコピーを使ったのは、男性の心の中に、髪を染めることに対して抵抗がいくつかある、
その抵抗を取り除いてこの製品を売り込みたいと考えたからです。
ですから、コピーの中で問題点をひとつひとつ取り上げて説得しました。
私としては、これは非常に成功した広告と思っています」
ホプキンズじゃなく、ケープルスの名をだしたところが、昨日の当ブログで指摘した「わが社のフィロソフィと違う……」といったところか。
とにかく、ＤＤＢによるメール・オーダー式コピーの再現。
しかも、レイアウトはＤＤＢ風。
【参照】ジョン・ケープルスについては、『コピーライターの歴史』←クリック
グレーの部分を掌で隠してごらんなさい。
どんなに若くなるか……おわかりですね。
「写真のグレーの髪を覆って若返らせてください。黒髪のほうを覆って老けさせてご
らんなさい」
若い／年寄り／若い／年寄り／若い／年寄り／若い／年寄り―――掌を移動させるたび
にこうなるのです。これであることが証明されます。グレーの髪はあなたを老けて見せ、
黒髪は若く見せます。
あなたはこの事実をすでにご存じだったかどうか……さあて、ね。
こうなる前に、なんらかの手をおうちになるべきでしたね。
あなたは、きっとこうお答えになるでしょうね。
気、お、く、れ。
ドラッグストアの他の客たちを気にしながら、「そのう、女房に頼まれて―――ね」
そっとおっしゃって、婦人用の白髪染めをお求めになる気まずさ。
明らかに染めたなとわかってしまうので、友人たちにそのことを見抜かれた時の気ま
ずさ。
「おい、見てみな。チャーリーが髪を染めてるぜ」からかわれもするんですからね。
白髪染めローションの使い方の厄介さとわずらわしさ―――それに髪を痛めはしない
かという不安と値段に対する気おくれ。
最大の気おくれの原因となっているのは―――グレーの髪をいじるなんて、「芸人」
ならいざ知らず、「普通」の男がやるには仰々しすぎるという考え方です。
男性用グレイト・デイ
まず、最後にあげた心配を検討してみましょう。というのは、あなたからその不安を取
り除いてあげられれば、残りのこともすっかり解決してしまえる新しい製品があるから
です。（クレアロール・リサーチの「グレイト・デイ」がそれです。後で詳しくお話し
します）
あなたの想像以上の殿方たちが
10年前にはほんの僅かの俳優だけが髪を染めていたものでした。ところがその後、目立たないところで驚くべき変化が起きたのです。(これまで男性用の良い製品がつくられていなかったこともあきれるべきことですがね）今日、こうした慣例を破って、髪を染めて新しい人生を歩んでいる男性は、200万人以上もいると言われています。
この人たちのほとんどは、舞台に立ったことなど一度もないはずです。講演は別として。
多くの銀行家、弁護士、証券マン、医師、広告人、営業所長、官吏、農夫、沖仲仕、教師、トフック運転手、警官などがそうです。ブラッシングなしでね。
この人たちは、年よりも老けて見られるのは嫌だという気持ちで共通しています。
（グレーの髪ほど老けて見えるものはありませんからね）個人的な理由から、あるいは職業柄、若く見られたいと望んでいるのです。（さあ、この問題を考えてみましょう。なんといったって、この社会では、若さこそが価値あるものとされているのです）今日では、中年の重役さんが齢以上に老けて見えた場合には、会社内の競争的立場では損をします。ましてや、職さがしともなれば、条件はもっと悪くなります。
あなたは毎日バカにされている
毎日、道で行きかっている人の多くは、若白髪を消しているのです。そのうちの何人かは、あなたも見破ってはいらっしゃいますね。でも、ほかの多くの人は、見抜かれないように染めるために、８ドル、10ドル、12ドルもかけて、専門家に染めてもらったように見せかけようと、望み薄の運だめしをしています。奥さんのクレアロール使っている人もありましょう―――これは奥さんにはうまくいきますが、男性用ではありませんからね。いまや、ついに、男性用に特製されたものができました―――あなたとしては、気おくれは無用の語句となりました。グレイト・デイです。グレイト・デイなら、自宅の洗面所や床屋さんで、グレーの髪をしなやかで豊かで自然な髪に変えられます。心配はまったくなしです。
グレイト・デイは、シャンプーのように使えます。（あなたの髪の伸びぐあいによりますが）２週間ごとに、びんからじかに頭にふりかけてください（混ぜる必要はありません）長い間つけておかないで、しばらくしたらリンスしてください。簡単です。１回に数分間つけておくだけで徐々にグレーを染めかえられます。早く染めたければ、長時間つけてからリンスしてください。
だれも気づきません
グレイト・デイは、あなたの髪の自然な色の部分には作用しません。グレーの毛髪だけを染めるのです。染めた当事者のあなたが驚くほどですから、ほかの人に髪の色の違いがわかるはずがありません。せいぜい「おい、チャーリー、お前さん、減量とか何か、やったのか」
というだけ。
枕も秘密をバラしません
グレイト・デイは、グレーの毛髪のシンで効果を発揮します。ですから襟を汚したり、枕を汚すこともありません。過酸化物を全然含んでいませんから、伸びてくる毛髪がそれとわかるオレンジレッドになることもありません。髪も痛めません（むしろ、養毛の働きすらします）
髪の質もおとしません。ただし、濃く染めた場合はどうかすると濃くなりすぎるようです。
（が、だからといって文句を言ってきた人はありませんが……）
グレイト・デイは、染髪の世界的な権威……クレアロールの製品です。クレアロールのスローガン
「知っているのはあなたの美容師だけ、といえるほど自然な毛染め」をおぼえていらっしゃいますか？ 白髪の殿方のために、長年にわたる試作テストを終えて、クレアロールはいまこそ知っているのは彼の床屋さんだけと言えるのです。その床屋さんも、自分で染めたのでなければ気がつかないほどでしょうね。
若く見えることは、いいことです。
全部、きちんと読んだあなたは、よいコピーがわかっているクリエイターか、６０歳以上か。
全文を読まなかった人は、よいコピーを理解する一歩手前の人。もう、ひとふんばり、勉強しよう。
（明日は、調査専門家アルフレッド・ポーリッツの［ホプキンズと広告リサーチ］）
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