創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(618)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(10)


プレイ・バック
1966年5月に来日したバーンバックさんは、10日の日経ホールでのスピーチで、エイビス・レンタカーのキャンペーンの中のこの広告をスライド映写し、次の解説を付した。



自分自身に不利なこと、表面的にはマイナスになるように感じられることでも、それによって信憑性を得れば広告は成功するということだ。

このキャンペーンでいっていることは、"私たちは2位です。だから一生懸命にやるのです"。このキャンペーンを始めてからエイビスは、前年の300万ドルの赤字から150万ドルの黒字になった。


自分にとって不利な言い方をしても、それが信憑性をもたせれば、それによって人びとの注目する広告になるということで、1位になる努力をしているのだということがわかってもらえる。


"We try harder" というスローガンは、その後大統領選挙などでも使われて、エイビスはより有名になった」
『日経広告手帖』1966年6月15日号より



あなただって2位だったら
一所懸命にやるでしょう。
さもないと・・・・。


小さな魚は、四六時中、動きつづけていないわけにはいきません。大きい魚が彼らをつつきまわすのを止めないからです。
エイビスは、小さい魚の悩みを熟知しています。
私たちは、レンタカーでは2位に過ぎないのです。一生懸命にやらなかったら、呑みこまれてしまうに決まっています。
私たちには、休息はありません。
私たちは、いつでも灰皿を空にしておきます。車を貸し出す前にガソリンが満タンかどうかを確かめます。バッテリーはちゃんと充電されているかどうかも点検します。ウインドシールドのワイパーもチェックします。
そして、私たちがお貸しする車は、軽快なスーパー・トルクのフォードの新車以下ってことはありません。
そして、私たちは大きな魚ではないのですから、あなたが私たちのところへいらっしゃったとき、イワシみたいな気持になるなんてこともありません。
私たちのところは、お客さまが詰めかけているってほどではないのですから。


絵のキャプション:「エイビスはのんびりするわけにはいきません」


C/W エド・ヴァレンティ Ed Valenti
A/D ヘルムート・クローン Helmut Krone
"The NEWYORKER" 1964.05.09


1966年5月10日の日経ホールでのバーンバックさんのスピーチ前半。←クリック