創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(617)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(9)


エイビスは、バイク遊覧がアイデアの基


エイビス・レンタカーの社史をくだくだ述べてもあんまり意味はないでしょう。
しかし、これが戦後に生まれた会社であることと、システムであることは知っておいても無駄ではありません。
大衆旅行意欲とビジネスの広域化と旅客機の発達(と空港整備)が主な商機になっているからです。


システムの考案と起業をしたのは、米空軍の爆撃機パイロットだったウォーレン・エイビス氏。
第2次大戦中、派遣されていた東南アジアの各地へ移動するたび、愛用のバイク持参で赴任地のまわりを走りまわり、人間の旅行好きと好奇心の強さを知り、レンタカーのネット・ワークに結びつける方法を考えたといいます。


終戦で復員するや、貯金と借金7万5000ドルを元手に、デトロイトとマイアミ空港にレンタカー・カウンターを開設しました。
もちろん、競合者はいました。
ハーツでした。
ともに着々とネットをひろげ、6年後にはカウンターを200の空港に設置していました。


資金的に行きづまったエイビス社は、いくつかの投資機関のあいだで転売され、けっきょく、このシリーズ(1)で紹介したボストンのラサール・フレレス投資銀行の手で経営が刷新されることになったというわけです。



あなたは、頂点に上り詰めるために、
人一倍、
働いていますか?
エイビスの握手仲間ですね。


勝ち犬の席を獲得するまで、さらにお励みになるおつもりですね。
もっと多くの時間、働きますね。 気くばりも忘れない。食事の時間さえ惜しむでしょう。
あなたはエイビスが直面していることと同じことに直面なさっています。 私たち? ええ、レンタカー業界で、まだ、No.2にすぎません。
私たちは、人びとに満足していただくためにヘトヘトになるまでやらなければなりません。
生きのいいスーパートルクのフォードのようなすばらしい車をお渡しする配慮が必要なのです。灰皿の吸殻を捨て忘れるなんてことがあってはならないのです。フロントガラスを磨いておくことも。燃料タンクはいっぱいにしておかなくっちゃあ。 私たちはさらに努力します。 でもね、あなたが私たちを車をお借りくださるまで、私たちの一所懸命さは実感なされませんよね。
私たちの目標に、頂上はないのです。
私たちが成長会社としての努力を怠らないように、どうかムチうってください。


C/W エド・ヴァレンティ Ed Valenti
A/D ヘルムート・クローン Helmut Krone
"The NEWYORKER" 1964.04.18