創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(348)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(45)


ただねえ,一枚ドアだからねえ、バイス・プレジデント・シートに1人きりの客をのせるならともかく、3人の客だと、Veepシートを前だおし、客のほうは狭い乗降スペースから不自由な乗り降りになる。
いまは、リア席にも安全ベルト装備だろうから、そのベルトに足をひっかけて怪我したら、だれが治療費をもつのかね?
アメリカのタクシーには、日本のように自動開閉ドア装置はついていなかったような。ロンドン名物のあのボックス型のタクシーも客席ドアの開閉は客の手動だったものね。

まあ、節約とラッシュ緩和の気持ちはわかるけど、アメリカ人の賛成票がどれだけ得られたか不明。


(フォルクスワーゲンのタクシーなんてありません。これは、うまくできたつくりものです)


ニューヨークでも、シカゴでも、サンフランシスコでも、よく考えてみてください。


この写真を撮るために、フォルクスワーゲンのタクシーで街を流しました。
私たちが交通をストップさせたことといったら!
あなたもご覧になっていれば、これほどカッコいいものはないとお考えになったでしょう。まあ、そのとおりだったのでしょう。
フォルクスワーゲンは、他のタクシーに比べて、4フィートは短いのです。
ですから、全車そうなったとすると、何マイルもの新しい街路が無科でできたようなものです。
小柄なので、VWはすばやく通り抜けることができます。どこかのご婦人がチップの5セント玉を捜している間に交通がマヒしてしまうといったようなことも起きません。
フォルクスワーゲンにすれば、予算内でもっと台数をふやせ、もっと経済的に走らせることができるでしょう。
冬の不凍液も不要、夏のオーバーヒートも忘れてしまえます。VWのエンジンは空冷式ですから。
とりわけ、VWの運転手と2人の乗客は、町のどの3人よりもずっと面白い思いをすることができます。
街角に立ち止まって、 「フォルクスワーゲン!」って叫ぶのは、変テコな感じがするかもしれません。
でも、私たちには、すばらしい響きです。

C/W
A/D

"The NEWYORKER" 1964.08.01
"LIFE" 1964.07.31




There are no real Volkswagen taxis. But there is one very good fok.


Think it over, New York, Chicago, San Francisco.


We drove our Volkswagen taxi through town on the way to get its picture taken.
And did we stop traffic!
You'd think it was the first sensible thing people hod ever seen. And maybe it was.
A VW is 4 feet shorter than other cobs.
So a whole fleet of them is as good as getting' miles of extra streets for free.
Because they're shorter, VWs get out of the way quicker. So traffic doesn't get all boiled up while some lady hunts for a 5c tip.
The people who'd run Volkswagens could buy a lot mare cobs for their money and run each one for a lot less, too.
They wouldn't need antifreeze in winter and they could forget about boiling over in summer; the VW engine is air-cooled.
Above all, the two passengers and the driver of a VW cob would have more fun than any other three people in town.
It may sound peculiar to you to stand on a corner and yell,
"Volkswagen!"
But it sounds beautiful us.


C/W
A/D


"The NEWYORKER" 1964.08.01
"LIFE" 1964.07.31