（323）［ニューヨーカー･アーカイブ］によるビートル･シリーズ（９）

高名なカー･デザイナーの名前が明かされていないところがミソです。
うっかり明かすと、そのデザイナーがスタイリングしたクルマの宣伝になってしまうし、読み手の興味をビートルからほかへそらしかねません。
主役から気をそらさせない手法を学びたい。

イタリアの有名なデザイナーが１ヶ所の変更を助言してくれました。

フォルクスワーゲンの外観が、ここ何年間も変わらないからといって、私たちがそれを当然のこととしているとは、お考えにならないで下さい。
先ごろ、私たちは、イタリアの有名なボディ･デザイナーを招き、フォルクスワーゲンのデザインで、どこを変えればよいか、たずねてみました。
彼は、何度も何度も観察しました、そしていいました。 ｢リア･ウインドウを大きくしなさい｣
｢それだけですか？｣
｢それだけです｣
私たちは、58年型から変えました。
フォルクスワーゲンは、違ったものにするために変えられたことはありません。よりよくするためにだけ変えられます。
変更は、１年中やられています。1960年のＶＷには、19ヶ所の機能上の改良がされています、ハンドルさばき、乗り心地、耐久性など---。でも、私たちが指摘しないかぎり、あなたは、これらの改良に気づかれなかったでしょう。
フォルクスワーゲンのよさは、ほとんどの新部品は取り替えがきくということです。また、古い型のＶＷにも使えます。
私たちは、自動車デザインに対するフォルクスワーゲンのやり方は意義あることだと考えています。これが、最も進んだスタイリング･アイデアになるかも知れません。

C/W　ダヴィッド　ライダー
A/D　ヘルムート　クローン

"The NEWYORKER" 1960.05.21

明日に、つづく。

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The famous Italian designer suggested one change.

Just because the appearance of the Volkswagen doesn't change from year
to year, don't think we take it for granted.
Some time ago, we called in a world-famous Italian body designer and
we asked him what changes he would recommend in the design of the
Volkswagen.
He studied it and studied it. Then he said, "Make the rear window larger."
"That's all?"
"That's all."
We did, starting with the '58 VW.
The Volkswagen is never changed to make it different. Only to make it better.
Changes take place throughout the year. 19 functional improv ements
have been made in the 1960 VW so far; improvements in handling, in
ride, in durability. But your eye wouldn't detect these changes unless
we pointed them out. A nice Volkswagen touch is that most of the new
parts are interchangeable; they can also be used on previous-year VWs.
We think the Volkswagen approach to automobile design makes sence. It
might even turn out to be the most advanced styling idea of all.

C/W　David Raider
A/D　Helmut Krone

"The NEWYORKER" 1960.05.21

It will continue tomorrow.