創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(268)ナショナル航空の広告(1)

[ニューヨーカー・アーカイブ]より


1960年代の初頭に華々し登場し、米国広告業界に衝撃とみごとな業績をのこして数年で消えていった広告代理店PKL(パパート・ケーニグ・ロイス)社の、これは鎮魂歌かもしれませんね。

クライアントの一つ---小さなナショナル航空のいくつかの原稿をご紹介しておきます。

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確定申告の締め切り日が近くなりました。これから、さぼっていた1年分を整理するので、1週間ほど、事例は1件ずつということでご容赦(ほんとうは休みたい)。


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ニューヨークからカリフォルニアへ
お飛びになりたいのでしたら、(その逆でも)
25ドルでマイアミに寄港できるよう
おとりはからいしてさしあげます。
航空会社を経営するには
こうでなくちゃいけませんね?
そうですとも。


私たちは、このお値段のことを三角飛行料金と呼んでいます。
ジェットでマイアミ経由で飛び、直行便で家路につく。
マイアミには、お好きなだけ滞在していただいてけっこうです。
1時間でも、週末いっぱいでも、1ヵ月でも、1年でもけっこう。
それとも直行便で行って、帰りにマイアミに寄っていただいてもけっこう。
東海岸の街---ニーヨーク、ボストン、フィラデルフィアから、西海岸の街---ロサンゼルス、ラスベガス、サンディエゴへの片道飛行の場合でも、
その逆の場合でも、これは適用されます。
直行航路のお値段よりも25 ドル多くかかるだけです。
サンフランシスコへいらっしゃるか、サンフランシスコから
こちらへいらっしゃる場合は、35 ドルの追加。
ニューオリンズ、ヒューストンの場合は、たったの20ドル追加。
マイアミでお会いしましょう。おおマイアミ。かの美しきマイアミ。


"The New Yorker" 1963.07.06




If you want to fly from
New York to
California
(or vice versa),
we'll throw in
Miami for ¢25.
Is this any way
to run an airline?
You bet it is.


We call it the Triangle Fare.
You jet to the roast by way of Miami, then returm home by direct Jet,
You can stay in Miami as long as you like.
An hour, a weekend, a month, a year.
Or you can go direct and catch Miami on the way home.
Workls either way between the east coast cities of New York, Boston, and Philadelphia
and the west coast cities of Los Angels, Las Vegas, and San Diego.
Costs just $25 more than the direct round trip Jet coach fare.
If you're going to or from San Francisco, it's $35 more.
New Orleans or Houston it's only $20 more.
See you in Miami. Ah, Miami. Beautiful Miami.