創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(287)DDBが選んだDDB ・・・【DDB紹介[終末宣言]】(13)

週末はアクセスが落ちるから、歯ごたえの強いのを。肩書きのVPに「エグゼクティブ」がついたら「取締役副社長」って意味。「エグゼクティブ」が2つもついてるからって尊敬する必要はないけど、やり手ってことはわかる。1960年代---ぼくがDDBに通ってたころはまだ無名だったみたい。「時代論」は解説にはいいけれど、実態的にはどうだろう? でも、これでDDBが生きた古典になったことはわかる。古典だから、やわい人は敬遠する。あなたのことではないです。


1960年には生まれてなかった?」「1970年は、20歳未満?」「古典は汲めども尽きせぬ」」「なぜ古典なのかが分かってないとねとお感じになったら、このテキストのタイトル右手「」をクリック→★。 田園地帯の夜空の満天の星の数★★★★★★★★★ほど。いまは、これだけがつづける励みなんですから。




>>DDB紹介[終末宣言]クリエイターインタビュー集目次


「クリエイティビティは、小さな(少予算の)企業の武器」
   エグゼクティヴVP兼エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター 
   マービン・ホーニグ MARVIN HONIG


:若い友人がコピーライターになりたいといったら、どんなアドバイスをなさいますか?

ホ一二グ:目立て、人と違ったようになれ。
同じことを人よりよくやればいいと考えるな。
すべての人に---クライアント、アカウント・グループ、代理店---気に入られる広告を作ろうとするな。すべての人には好かれない広告を作り続け---皆んながいいといったら、まず疑ってかかれ。
論争の的になるような広告を作れ---人びとが結局は、「おい、ア一二一が書いたやつを見たか?」と言うようなものを作れ。
若い人には、それが最高の方法でしょう。
そうやって年数を重ねるうちに、自分で、どうやれば一番いいかがわかってきます。
しかし特にここDDBでは、ユニークな広告づくりが最適です。話題の中心になる広告ですね。ボツになるならない、買ってもらえるもらえないとは別に。
とにかくドイル・デーン・バーンバックでは代理店が広告を気に入れば、かなりの評判を勝ち得ることがでるんです。
            
:「ア一二一が書いたやつを見たか?」という言葉には、「(どこそこの広告主)の広告を見たか?」という意味が暗に含まれるわけでしょう? そうするとそれはライターというよりむしろ広告主の注意をひく広告ということになりますね。

ホ一二グ:私が言っているのは、広告代理店内でライターが注意をひくためのことです。
たとえば、その広告はいい広告ではないかもしれない。でもそれがエキサイティングであればそれを強調し、鋭くすることによって、良い広告に変えることができるのです。
しかし平均的な仕事をやって、私なり、他のスーパーバイザーの所へ持って行っても、手のつけようがないわけですよ。

:しかし結局は、消費者に「おい,(あの広告主)の広告を見たか?」と言わせるような広告を作れということでしょう?

ホ一二グ:そうも言えますかね。
でもそうあらねばならないということではありません。ただ私は、消雪者にコマーシャルを見てもらいたい、あるいは雑誌なら、私の広告の所で目を止めて、メッセージをくみとってもらいたいのです。
人びとに歩き回って「おい,(あの広告主の)広告を見たか?」と言ってもらうことに、大きなメリットがあるとは思えません。
ポイントはそんな所にはないのです。
しかし若者の場合は,私たちは広告をよりエキサイティングなものにできる人びとを求めています。広告をよりエキサイティングにでき、消賀者に伝えるべきことを正確に伝え、私たちが言わんとしていることを納得させることができる,そんな人物です。

:パッケージ製品の場合、エキサイティングなほどクリエイティブな広告を作るのは容易ではないと思いますが?

ホ一二グ:今日の様相を見ていると、パッケージ製品でクリエーティブになるには、チャンスというものが大きな力をしめています。
3500万ドルをかけて広告を作る製品のコピーを見つけ、それにあう音楽を買って、まとめ
あげる、というひとつのシステムができあがっている感があるわけです。


(このTV−CM、DDBから貰っているけれど、アルカ・セルツァー社がYouTubeを嫌っているようなので---)


たとえばソフトドリンクやハンバーガー・チェーンを例にとると、「とてもおいしい」とか、「とてもいい気分」なんてコピーで、音楽もそれに合わされ、コマーシャルの登場人物はみんな跳んだりはねたりして歌を歌っている。たいていが17歳から24歳までで、みんなとてもきれい---アフリカ系美人、東洋系美人、中にはユダヤ系美人なんてのもあります。そして歌を歌う---同じ文句をくり返し、くり返しね。
今日、クリエイティビティが見られるのは、広告を必要としている比較的小さな会社です。大手はスーパーマン調の映画をやっている。
しかしクリエーティビティは小さな会社の武器なんですよ。いつの世でもね。DDBは大手に対抗した小さな会社の帝国を築いてきました。
大会社のポラロイドでさえ、もっと大きな競争相手があり、ユーモア、魅力を駆使しなければなりませんでした。
そしてジェームス・ガーナ一・コマーシャルが実にみごとな効を奏しました。
1970年代は、クリエイティビティが控え目でした。
でもウエンデイーズのようなキャンペーンを見てください。彼らには3500万ドルもの予算はありませんでした。歌ったり踊ったりする以外に彼らの製品を売る方法を考えなければならなかったわけです。そこでクリエイティブなアイディアに突破口を見つけました。
そしてもののみごとに効果をあげています。
大手にとっては、3500万ドルをかけて文句を考え、歌を歌わせていればいいのでしょう。
しかしそうでない会社が彼らを真似ていたら、大手の手中に陥るだけです。
たとえば、ミラーのビールのキャンペーン(これは非常な成功をおさめ、他社もまねをしているほどです。シュリッツもミラーになろうとしています)。その力、攻撃力を再編成するクリエイティブな方法を見つけようとしないで、真似をしているだけなんですね。

:しかし今では<これまでにいい広告が出つくした感じで、インパクトを与える広告というのは難しいんじゃないですが?

ホ一二グ:いや,ほとんどの広告が似かよってきているんで、もう少し寛容になってくれればかえってインパクトを与える広告は作り
やすいんじゃないですか。1960年代後半より難しいとは思いませんね。


:そして広告主の考え方は寛容になってきていると思いますか?

ホ一二グ:ええ。そうなるでしょう。すべてのものは、くり返しますからね。広告界のクリエイティブ・ピープルにとって最も困難な時
期は過ぎ去り、強い者だけが生き残っていますし。
1960年代は、1950年代の反動期でした。50年代はロック・ハドソンの映画、型にはまっ
たアカウントマンの時代でした。
60年代、すなわちビル・バーンバックとクリエイテイブ革命なるものは、その50年代に対する反動---大反動---だったのです。とてもエキサイティングでした。
1960年代末には、クリエイテイブ革命(この言葉は好きじゃありませんが、皆がそう呼んでいるので)は行きつく所まで行ってしまいました。
自分が何をしているかわからずに跳びはねる人びとが現われ、クライアントは彼らに「ドイル・デーン・バーンバック風の広告を」期待する、しかし彼らにはクリエイティブな広告の模倣しかできないといった具合になってしまったのです。
当然、真にクリエイティブな広告というものは決して模倣であるはずがないのです。
それでクリエイティビティという言葉は悪名高くなってしまいました。
そしてこのクリエーティブ革命に不快感を覚えていた人びとは、待ちかねていたように、
「クリエーティブ革命は死んだ」と叫び出しました。
マジソン街のビルの屋上にのぼっていって、叫び散らしたのです。
アンチ・クリエイティブ革命勃発というわけです。
しかし私はそうは思いません。私は最もクリエイティブな広告作りを信じます。
しかし1950年代は毒にも薬にもならない時代があって、だから1960年代に起こったこが革命のようにうつったわけです。そして行きつく所まで行き---。
1970年代は1960年代の反動で、そして今、それも行きつく所まで来た感があります。
現に反対方向への動きがあり、それはこれからも続いていくでしょう。
しかし大会社ですら他の諸々の会社に彼らの広告を模倣されるのにうんざりするようになるでしょう。
彼らはチェックして回り、TVのいい広告のほとんど---彼らが好む広告---が現在彼らが広告づくりに使っているルートと違ったルートからでていることに気づきつつあります。

:DDBと他の代王里店との根本的な違いは何だと思われますか?

ホ一二グ:根本的な違いは、私たちが他より1歩先を行こうと努めていること、満足がいく広告あるいは、コマーシャルだからといっ
て、その広告あるいはコマーシャルで満足していないことです。このさらにつっこんでいく姿勢はこれからもくずされないでしょう。


>>DDB紹介[終末宣言]クリエイターインタビュー集目次


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