創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(288)DDBが選んだDDB ・・・【DDB紹介[終末宣言]】(14)

DDB30周年(1979)シリーズは、とりあえず、これで終わります。バーンバックさんの基調スピーチから始めました。しめは、重役会会長兼チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(取締役会長)のジョー・ダリー氏。この人はアカウント部---クライアントとの折衝部門育ちの人です。手紙のやりとりはしょっちゅうしていましたが、直接会話したのは、日本の広告事情を説明したときでした。どうして、コピーライターにすぎないぼくが、DDBのクリエイティブのことを調べるのか、不思議だったんでしょうね。それで、媒体と広告代理店の日本的特殊な関係を話しました。


祝30周年」「クリエイターを支えている人たちの代表」「すみずみまでDDB精神」」「DとDさんは引退していたんですねとお感じになったら、このテキストのタイトル右手「」をクリック→★。 田園地帯の夜空の満天の星の数★★★★★★★★★ほど。いまは、これだけがつづける励みなんですから。




>>DDB紹介[終末宣言]クリエイターインタビュー集目次


「私たちの数字を作りあげたのは、クリエイティブ・タレントです」

   重役会会長兼チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(取締役会長)
   ジョー・ダリー JOSEPH DELY


:『DDBニュース』のこの号は、あなたがなさったDDBのクリエイティブ・スーパー・スターのプレゼンテーションにヒントを得たものですね。

ダリー:あのプレゼンテーションは、株主総会のために企画されました。
株主総会の主な目的は、もちろん財政報告です。
そして当社のそれは、ずっと健全なものでした。
しかし数字はすべてを言い尽してはいません。DDB野の真の財産は現在ここにいるクリエイティブ・タレントであり、過去に在籍したクリエイティブ・タレントなのです。
私たちの数字を築きあげたのはそうしたタレントたちなのです。
それを私たちの株主にわかってもらうために、ひとつの「チーム」を選び出し、認識してもらうことに決定しました。フットボール・チームの人数か11人なので、たまたまこの11人が選ばれましたが、選ぼうと思えば、さらに11人、またさらに11人を遊ぶことは簡単です。
また11という数字は重宝な数字ですし、私たちにはたしかに11人のスーパー・スターがいるのです。
彼らはDDB、さらには広告界全体に大きな貢献をしてきた人たちばかりです。
あのプレゼンテーションでは、11人のスライドも写し出されました。ミーティングをよりいっそう有意義に、ドラマチックにするため、11人それぞれに各自の気に入った広告(プリントまたはTV)をピックアップしてもらったのです。そしてそれをスライドにおさめました。
そのスライドだけをとっても、偉大な広告の11大スペクタルが出来上りました。

:広告とは財産が毎夜エレベーターで降りていってしまう商売だという言葉を説明してください。

ダリー:11人のスーパースターらは長年、朝とともに再びもどってきたということも留意してください。そして私たちのタレントたちは皆が皆、同じエレベーターに乗っているわけではありません。
ここではわずか11人しかお見せすることはできません。しかし彼らの作品、そして彼らがDDBにもたらした評判がゆえに、この代理店はタレントたちにとって磁石になっているのです。
だから若い新進のスターたちが入ってくるのです。

:あなたは1949年当代理店の創立6ヶ月後、初めて雇われたアカウントマンですね。アカウントの仕事に対するあなたのアプローチの仕方は変わりましたか?

ダリー:DDBのアカウントの仕事に対するアプローチは変わりました。創造哲学には何の変化もありません。それは広告代理店である私たちのとりでであり、相違点であり、今日の私たちを作りあげているものなのです。
一方、アカウント、マネージメント哲学は変わってきました。この代理店の歴史を半分にわけてみましょう。
前半の15年間は、クライアントが私たちに期待するのはクリエイティブな仕事だけでした。
しかし画期的な広告はクライアントにいつも簡単に売れるわけではありません。私たちにはこうした作品を売れる優秀なアカウントマンが必要でした。
それに彼らは自分の気に入らないからといって、独断でその作品を拒否することも許されませんでした---それはDDBのやり方ではなかったからです。

現在の仕事ぶりを見ていただいても、そうしたあり方が基本になっています。
しかし今では、アカウント・マネージメント・チームは以前以上の技術、情報、リサーチ、マーケティング、メディアなどの---を系統だて、統合合する能力がなくてはなりません。パッケージ製品は特に。たとえば、リサーチをクリエイティブ分野の人びとにも、クライアントにも正確に説明し、理解させなければなりません。
そうすれば両者の波長が合うからです。
たしかに、こうした技術は最初の頃から必要でした。しかし現在ほど不可欠ではなかったのです。
だから私たちの代理店としての熟し方には違いがあったでしょう。それも良い違いが。現在のDDBのアカウント・マネージメント・チームはどの代理店にもひけをとりません。

:前途は期待できますか?

ダリー
:もちろん。私たちのこれまでの勢いが止まる気配はまるでないと思います。同じ成長を企んでいますよ。現在のクライアントと直接的なもめごともなく取れる新規ビジネス分野がたくさんあります---特にパッケージ製品に。
私たちにはいろんな新規ビジネスの口がかかり、競合になった仕事は50%以上ものにしています。
そしてもちろん全部とは言いませんが、ほとんどの場合、私たちの現在のクライアントの取扱い高が伸びる可能性があります。事実、歴史的にも私たちの成長の75%が既存クライアントの取扱い高の伸びからきています。
彼らの製品あるいはサービスの売り上げ増をもたらした報酬というわけです。
現在のクライアント・リストを見ると、私たちの未来の発展源となれる確たる理由がたくさん見つかります。

:創立当時からここにいらっしゃる者として、DDB精神はDDBがもっと小さかった頃と同じだと思われますか?

ダリー:DDB精神のエッセンスは変わっていませんね。DDBは今だに仕事をやるのに好都合な場所ですし、非政治的な場所だからです。
またお互いがお互いの才能、タレントを認め合い、その交換をあてにできる場所でもあります。
ここの1000人近い従業員のファースト・ネームをすべて知りたいのは山々ですが、他の人もみなそうでしょう、それは無理です。
しかし、DDB精神を思い出したかったら,あのクリスマス・パーティの日にもどればいい---あの朝、年次会に集まったその瞬間から部屋にはDDB精神が充満していました。しかもそれはバーを開く(全社を開く)前のことだったのです。
私たちは好人物で才能のある人しかいらない。いかに好人物といえ、才能がなければ使えないし、いかに才能に恵まれていても、人物が良くなければ、ほしくないからだ---といった、ビル・バーンバックの言葉は、今だに生きていますよ。

:DDB精神には倫理的なことで知られる会社の仕事をしているという誇りも含まれると思いますが。

ダリー:たしかにそうです。
最近の広告業界の一部の傾向を見ると、その違いがはっきりわかります。私たちは昔から小さなクライアントでも関係が健全でうまくいっていれば、大きいクライアントに乗り換えないという方針を変えずにきました。もちろん関係がうまくいってなければ、話は違ってきます。
しかしそんな方針を曲げなかったおかげで、損をした部分もありますがね。
そしてタバコの広告に対する私たちの姿勢も有名でしょう。

:おかげで・--
ダリー:損もしています。
しかし誇りも私たちのプロフェッショナルな水準と大きな関係があるんです。
私たちはひとつの視点を持ち、その視点を堅く守っており、それをクライアントの利益になるように具現する全社という評判をとってきました。私たちがごうまんさからそうやってきたというかげ口はもう聞かれなくなったと思いますよ。そうじゃないんですから。
そう、私たちは一般的に倫理に忠実な代理店、視点を堅持する代理店として認められていると確信しています。そしてそのために尊敬もされているでしょう。


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