創造と環境

コピーライター西尾忠久の1960年代を中心としたアメリカ広告のアーカイブ

(98)いわゆる「DDBルック」を語る(8)

     前DDBクリエイティブ・マネジメント・スーパバイザー ポーラ・グリーン
     (1969年退社 グリーン・ドロマッチ社をDDBの隣のビルに設立)


『MC』誌1969年6月号の記事、ご当人の了解をとって拙編DDBドキュメント』 (誠文堂新光社 ブレーンブックス 1970.11.10)に翻訳・掲載したものです。


<<いわゆる「DDBルック」を語る(1)

ドラマティックなセンスも必要


問い「コピーをより面白く、より楽しいものにするためには、言葉のうまい組み合わせを思いつくよう、あなたの側で意識して努力するわけですか?」


グリーン「だれでもそうじゃないですか? 物語のようなものですよだれも聞いてくれなかったら物語なんてなんにもならないじゃありませんか。講談師にもいろんな人がいるでしょう? わたしだってあなたに物語を話してあげることはできますが、興味を引きつけるような話し方はできません。
ですが、偉大な談話家、直感力を備えた談話家だったら、同じ物語でもポイントを持たせて話すことができます。
そして書くには、ドラマティックなセンスが必要だと思いますが、それは必ずしも横にトンボ返りをするとか、変テコな言葉のトリックを使うとかといったことではないのです。
つまり、どうやったらコピーのなかに注意を引く要素を組み入れられるかを知るということです。うまく説明できませんけれど、そういったフィーリングだと思うのです。
わたしは、自分のコピーを図式化はしません。ここから始めて、ここで終わる---などとは決していいません。しばらく、ぐつぐつ煮立った後、突然自然に発展して行くのです。
本当に正確にそれを図式化するなんてできっこありません」

バーンバックさんに「いいね」といわれたい


問い「ビル・バーンバックさんは、書かれたすべてのコピーに関係しているのですか?」


グリーン「どのコピーにもビル・バーンバックさんの存在は感じられると思いますよ。
というのは、バーンバックさんに『いいね』といってもらえるようなコピーを書きたいと思いますからね。
これはとても重要なことだと思いますよ。バーンバックさんがそこにいると分かっていれば、彼にいだいている尊敬の念を感じとることができますから。自分ができるであろう成果以下の仕事をやった場合、きまり悪く感じるでしょう」


問い「アイデアがいいか悪いかはどうやってわかるわけですか?」


グリーン「わかりませんね」


問い「そういう直感みたいなものがあるわけですか?」


グリーン「もちろんです。感じるものです。
でも、駆け出しの若い連中には無理でしょうね。出来ることを証明したがりますけどね。
じじつあるアイデアをしつっこく固守するということは、時には自分のいだいている不安と直接結びついているということがあるものです。
経験を積むにつれて安全性がより高くなります。経験があるということは、つまり、よりたくさんが知っているというだけではなく、これまでに自分のアイデアをよりたくさん実現させてきたということでもあるわけです」


>(9)に続く


エイビスは2位にすぎません。
だからといって、
憐憫を期待してはいません。


私たちが泣きごとをいってますか? 大げさに負け犬を演じてますか?
デイヴィッド・ビーナー君(11歳)から「プリマスを買い足すのに使って---」と35セント同封の手紙を受け取るまで、考えてもいませんでした。
目からウロコが落ちました。
そこで、これまでの間違った印象を訂正しようと考えました。
あなたが私たちを可哀相と感じていらっしゃるなら、私たちはエスビスの車をお貸ししたくはありません。私たち全員が望んでいるのは、2位は1位のようによくなれることを証明することです。いや、それ以上によくなることを。だって、私たちはしっかり励んでいるんですもの。
私たち自身が、消極的なところを捨てて、積極性を強調すべきなんでしょうね。
「レンタカー業界で私たちは2位です」に代えて「われわれは世界で2番目に大きいんですよ」というべきなんです。





No.2主義
エイビス宣言


私たちは、レンタカー業界で、巨人の後塵を拝しています。
なかんずく、私たちは、生き残る方法について学ばねばなりませんでした(*)。
その闘争を通して、私たちは、この世における1位と2位の根本的な違いについても学びました。
1位の態度たるや「間違ってはいけない。失敗さえしなければ、それでいい」です。
2位の態度はこうです。「正しいことをやれ。新しい道を探せ。もっと一所懸命にやろう」
このNo.2主義が、エイビスの信条であり、実践もしています。
エイビスのお客さまは、ワイパーがちゃんと動き 灰皿が空になっていて、ダソリンは満タンのきれいな新しいプリズムを、エイビス・ガールの微笑つきでお借りになれます。
そしてエイビスも赤字を脱して黒字に転じました。
エイビスは、このNo.2主義に特許をとってはおりません。どなたでも自由にお使いになれまます。
万国のNo.2の同志よ、立ちあがれ!


(注:写真も『共産党宣言』の鎌とハンマーをもじり、クランク棒とハンマーにしていて、笑わせてくれる)。


これまでにアーカイブしたエイビス・キャンペーン
[DDBの広告]エイビス(01) (02) (03) (04) (05) (06) (07)


>(9)に続く