創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(39)VWビートルの広告(11)

1960年代後半から70年代へかけて、DDBの取材のためにニューヨークへ、春秋2回ずつ通っていたときのある年、マンハッタンは極度の水不足に襲われ、ホテルの洗面所には[節水 SAVE WATER]のステッカーがべたべたと貼られていました。
ニューヨーク・タイムズ』は「節水20ヶ条」と題した付録のパンフをつけました。その1条---「水洗トイレの水槽にレンガを1コ入れましょう」。


そんなときに、VWビートルが、こんな1ページ広告を出したのです。


節水。
(下に小さく)水をまったく必要としない空冷式エンジン搭載のフォルクワーゲンの提供です。




Save Water
Presented by Volkswagen, the car with air-cooled engine that dosen't use any.


「節水20ヶ条」の1条に「歯を磨いているあいだは、蛇口を閉めておきましょう」がありました。
東京が水不足に襲われたとき、某銀行の広告制作を担当していたので、早速、車内吊り広告に転用しました。水道の蛇口から勢いよく出ている写真にそえて。
節約は銀行の訴求点の一つですからね。
都の都知事だか水道局長だかから頭取へ、感謝のメッセージがとどいたそうです。某銀行は都の公金を扱ってましたから、大喜び。


さて、今年は空梅雨の模様。節水がいわれるのでは。


もっとも、ニュー・ビートルは世間の車並みの水冷式エンジン搭載ですから、このテーマの広告は関係なし。




[link]
上記広告「Save Water」の担当コピーライターのインタビュー
>>ロバート・レブンソンのインタヴュー(その1)
>>An interview with Robert Levenson(1)