創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(34)VWビートルの広告(6)

20世紀最高のキャンペーンの一つ…といわれているVWビートルのシリーズを紹介しています。

乗用車の広告には、ボディはピッカピカでチリ一つついてなく、どこを走ってきたのか車輪には泥のひとかけらもつけない車と、湖畔に寄り添うカップルの美しい写真が使われます。

VWビートルは違います。ここまでにご紹介したのは、工場の内外における検査、検査…車の姿すら出ませんでした。

ビートルの全姿の、このコーナーでの初登場は、なんと、泥濘のしぶきの中(しぶきの形は芸術的ではありますがね…)。この製作チームは、どうなっているんですかね? 
検査は、車選択の条件になるんですかね?

どの新車も、少し使われて出てきます。

フォルクスワーゲンにぴったりの道路は、でこぼこ道です。障害がいっぱいの道です。
それをうまく乗り越えるものもあれば、失敗してしまうものもあります。
うまく乗り越えた車は、8,397人の検査員の手で綿密に点検されます(このうち807人が気むずかしい女性検査員です)。
16,000もの異なった点検を受けます。
特別につくられてテスト台の上で、5kmの走行テストを受けます。
すべてのエンジンが使いならされます。
すべてのトランスミッションも。
製造ラインから引き抜かれて行くかぶと虫もたくさんあります。それらの使命は、売られることでなく、テストを受けることです。
漏れないかどうかを確かめるため、水の中を通します。
サビないかどうかを確かめるため、ぬかるみの中、塩の中を通します。
手動ブレーキ、クラッチのテストのため、山を登らせます。
乗り心地のテストのため、強風トンネルを通し、6種類の道路状況の上を走らせます。
トーション・バーか゜うまくねじれるかどうかを確かめるため、100,000回もねじります。
鍵穴からこわれてこないかどうかを確かめるために、鍵を25,000回も回します。
そういったことが次々に行われるのです。
毎日、200台のフォルクスワーゲンがハネられています。
きびしい検査です。




Every new car comes slightly used.

The road to becoming a Volkswagen is a rough one.
The obstacles are many.
Some make it.
some crack.
Those who make it are scrutinized by 8,397 inspectors.(807 of whom are finicky women.)
They're subjected to 16,000 different inspections.
They're driven the equivalent of 3 miles on a special test stand.
Every engine broken in.
Every transmission.
Many bugs are then pluced from the production line. Their sole
function in life is to be tested and not to be sold.
We put them through water to make sure they don't leak.
We put them through mud and salt to make sure they won't
rust.
They climb hills to test handbrakes and cluches.
Then comes the dreaded wind tunnel and a trip over 8 different road surfaces to check out the ride.
Torsion bars are twisted 100,000 times to make sure they torsion properly.
Keys are turned on 25,000 times to make sure they don't break off in keylocks.


早く、まともなVWビートルの勇士を見せろ? でも、この検査、検査システムは、ニュービートルにも引き継がれているんです。
ええ、もちろん、このブログは、ニュービートルのためのPR場所ではありません。
VW社からは1円の援助も受けておりません。
DDBからも1ドルももらっていません。
このブログの読み手からの1ポイントの投げ銭(いまのところは)期待していません。
すべて、自前です。手弁当なのです。
期待は、あなたからのコメント(たとえ、お叱りの声であろうと)。

ま、いってみれば、無償のクリエイター・コースといったところかも。


もっとVWビートルにお会いになれます。

Advertisements of VW

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