創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(32)VWビートルの広告(4)

VWビートルのキャンペーンのうち、燃費と価格をテーマにしたものとそのボディ・コピーを除くと、ニュービートルにそのまま転用できるものが多い。
いや、ニュービートルとは限らない---。



VWはいつも工場で小さなトラブルに
巻きこまれています

このがらくたは、フォルクスワーゲンになるべく進んでいたときに、石の壁にぶっつけられてしまってできたものです。
きびしい検査員がそうしたのです。
彼らは、生産ラインからチェックした部品を抜き出して、20台分の車、あるいは貨車2両分のスクラップをつくりだしています。
各工程でフォルクスワーゲンを文字通りバラバラにしてしまう検査員が何千人もいるのです。
フェンダーに小さなひっかき疵があれば、彼らに大きな疵つけられてしまいます。
バンパーに小さな切り傷があってもぶっつけられてしまいます。
10人の作業員がやったことを、1人の検査員が台無しにしてしまうのです。そして塗装段階では、1台のVWの点検に8人の検査員があたっています。
とはいえ、この検査の仕事があるのは、作業がルーズに行われているからではないのです。
VWをつくる人たちは、十分に注意してやっています。検査員がそれを完璧に仕上げるのです。




Every now and then a VW runs into a little troble at the factory.


That hunk of junk was on its way to being a Volkswagen, when it ran into a stone wall: a bunch-nosed inspectors who pul enough parts off the
line every day to make the equivolent of 20 cars. Or 2 freight cars full of scrap.
There are thousands of inspectors who literally pick every Volkswagen to pieces, every step of the way.
If there's a little scratch in a fender, it gets scratched, if there's a little nick in a bumper, it gets bumped.
Wherever ten people are doing something, there's an inspector to undo it. For the paint job alone, no less than 8 inspectors check every VW.
All that inspection doesn't mean the work isn't done carefully. the men who make the VW make it very well. The inspectors just make it perfect.

きょうのこの広告、1台のVWビートルを、まるまる、スクラップにしたのかと、ぎょっとさせられます。
ボディ・コピーは、そうは、いっていません。小さな疵がある部品をハネ、集めると1日に貨車2台分---とだけ。
もちろん、スクラップにはしないで、補修して再使用するのだろうが、広告はそのことはいわない。コンシューマーには関係がないことですから。


さて、昨日の約束---VWチームに入れられたら、アイデア・ソースは---。


(その1)
チームに入ると、ウルフスブルグの工場見学、そこで受けたオリエンテーション


(その2)
世界中のVWディーラーが発行しているハウスオーガン(社内外向けの機関誌)からのネタ 
チーム・メンバーが読むだけでなく、アカウント(得意先)部や調査部が見つけて、クリエイティブ・チームに教える。


(その3)
クリエイター自身の人生体験


これで、VWビートル・クリエイティブ・チームに入ったあなたも、頭痛、胃痛の心配なし。



もっとVWビートルにお会いになるには、

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