創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

TIME誌に掲載したPR広告


[TIME]誌が、広告ビジネスで世話になっている広告代理店に1ページを提供して自社のPRさせたのです。


DDBのは、1969年10月3日号に載り、1400人の全従業員に配布されているのを目撃。
自著『DDBドキュメント』(誠文堂新光社 1970年11月10日刊)の巻頭に据えました。


コピーライターは、取締役副社長でコピー部門の責任者ボブ・レブンソン氏。英語の教師からコピーライターに転じた仁で、VWビートルの作品でもわかるように、正しく力強い文章の書き手として、バーンバック会長の信頼が高いといっていいでしょう。

ロバート・レブンソンのインタヴュー(その1)
An interview with Robert Levenson(1)



【訳文】
これをするか、さもなくば死になさい

この広告を脅しとみますか?
違います。しかし、そうなったかもしれないのです。そして、米国のビジネスにとって、するか死かの別れ道があるのです。広告を通じて、私たちはクライアントとともに、人びとをトリックにかけるすべての力と技を持っています。
あるいは持っていると考えています。
しかし、私たちは間違っているのです。私たちはいついかなる時でも、いついかなる人をも、だますことなど出来ないのです。
実際、この国の6歳の子どもは、12歳並みの知力を持っています。
そう、私たちは、知的水準の高い国民です。
そして、ほとんどの広告が知的な人びとを無視しているがゆえに、ほとんどの知的な人びとがほとんどの広告を無視してしまうということになるのです。
そこで私たちは、仲間うちでの話をするのです。
媒体とメッセージについてとどまるところを知らない議論がそれです。ナンセンスです。広告のメッセージはそれ自身がメッセージなのですから。何も書いてない紙面にしても、何も写していないテレビのスクリーンにしても、同じことです。
そしてとりわけ、私たちがそれらの紙面やテレビの画面にのせるメッセージは、真実でなければなりません。もし、真実を曲げて伝えれば、私たちには死が待っているのです。
さて、コインのもう一面についてお話ししましょう。
それは、製品について真実を述べるには、真実を述べるに足るだけの製品が必要だということです。ところが悲しいことに、多くの製品はそうではないのです。
あまりにも多くの製品が、改良の努力を怠っています。特長もありません。それに製品が長持ちしないものもあります。あるいは、なくてもいいような性能がつけられています。
もし私たちがこのトリックを用いるなら、死ななければなりません。なぜなら、広告というものは、悪い製品が早くダメになっていくのを一層促進するものだからです。どんなロバだって永久に人参を追いかけてはいません。事態がのみこめれば、追いかけるのをやめます。
これは覚えておいてよいことです。
もしそうしなければ、死を待つばかりです。
もし改革がないならば、そのうちに、消費者の無関心という大波が、広告され、製造されているたわごとの山を襲うでしょう。
その日こそ、私たちの最後です。
私たちは私たちの市場で死ぬのです。私たちの商品棚の上で、空虚な約束を記した美しいパッケージの中で。
物音もなく、すすり泣きもされず。
しかし、それは私たち自身のきたない手が引き起こしたことなのです。 

DDB




【本文】

DO THIS

OR DIE


Is this ad kind of trick?
No. But it could have been.


And at exactly that point rests a do
or die decision for American business.


We in advertising, together with our
cliants, have all the power and skill to
trick peple. Or so we think.


But we're wrong. We can't fool any
of the people any of the time.

There is indeed a twelve-year-old
mentality in this country; every six-
year-old has one.


We are a nation of smart peple.
And most smart people ignore most
advertising because most advertising
ignores smart people.
Indead we talk to each other.
at day
We debate endlessly about the me-
dium and the massage. Nonsense. In
advertising, the massage itself is the
massage.


A blank page and blank television
screen are one and same.


A above all, the massages we putright
on those pages and on those tele-
vision screens must be the truth. For
if we play tricks with the truth, we die.


Now. The other side of the coin.
Telling the truth about a product de-
mands a product that's worth telling
the truth about.


Sadly, so msny products aren't.


So many products don't anythig
better. Or anything different. So many
don't work quite right. Or don't test. Or
simply don't matter.


If we also play this trick, we also die.
Because advertising only helps a bad
product fail faster.


No donkey chases the carrot forever.
He catches on. And quits.


That's the lesson to remember.
Unless we do, we die.
Unless we change, the tidal wave of
consumer indifference will wallop into
the mountain of advertising and msnu-
facturing drived. 


That day we die.


We'll diein our marketplace. On our
shelves.In our gleaming packages of
empty promises.


Not with bang. Not with a whisper.
But by our own skilled hands.

DYLE DANN BERNBACH INC.