創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

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今の★数累計です。


DDBの自社広告を数点、つづけます。
そのあと、このブログをやめてもいい。


「私にすばらしいアイディアがある。
それは真実を告げることです」
N.M.オーバック


ドイル・デーン・バーンバックは22年前、最初のクライアントからこの助言をいただき、
現在も服膺しています。
それは夢のような利点をもった秘密兵器です。

まず第一に、うしろめたさがなくなります。
第二には、従ってラルフ・ネイダーも手が出ません。
第三には、生命をもっている製品なら、真実を告げることが最上の広告手段です。

無論、真実を告げることは必ずしも容易ではありません。
DDBが扱ったクライアント問題のいくつかは、容易そうに見えました。
それでも事実を告げるためには、多大の勇気を必要としました。
当社が現在広告をつくっている車を例にとりましょう。
この車は、当初から、デトロイトに馴れた目には、奇妙な小さな生きものに見えた
ようです。
実際、かぶと虫のように見えました。
そこで、かぶと虫と呼びました。
当社は車を売りました。
また私どもが「ナンバー2」と自称しているレンタ・カー会社。これもまことに
アメリカ的でした。
消費者に強く印象づけるには、たいてい、最大の---最高の---といった
形容詞を使わなければ不可と思われていました。
何かそういうものを---。
私どもは真実を告げることにチャンスを求めました。
当社は車を貸しました。
ローン利用の宣伝をしてはどうかと助言してくれた銀行家もいます。
しかし低利率ローンを宣伝する代わりに、当社は、1400語、2400行の広告を
つくり、ローンだと、払い切れなかったときにどんなことになるか、その不利な点を
はっきり書いたのです。
といっても、だれも読んでくれなければ三枚目のコピーでした。
ですよね?
しかし訴える力のあるコピーは読まれるものです。
これを読んでくれた人びとは、銀行ローンをおびやかしただけでなく、ウワサはウワサを呼び、
このコピーを求める人は10万人にも及びました。


情報も真実の言葉になります。
潜在的消費者に情報を提供することは、宣伝の第一歩といえるでしょう。
これは依然として最も重要な仕事にはいります。
信じてもらう、銘記してもらう、時には楽しんでもらう---これが大事です。
それゆえ、ドイル・デーン・バーンバックでは(この広告も含め)広告宣伝には大いに力を入れています。
広告は「ホット」でも「クール」でもなく、誠実一筋を旨としています。
頁の上では、ありのままの姿をごらんいただいています。
あなたの製品であり、広告なのです。
たいていの方は、宣伝・広告といえば一抹の疑惑の目をもって見るのがふつうですが、
それだけに真実を訴えるのはむずかしいといえるでしょう。
事実、広告は長い間にはイメージ・ダウンさえもたらしうるのです。
私どもも正直いいまして、楽園で商売しているとは夢々考えていません。
世間の目は抜けません。
だから真実を申すのです。


この22年間、当社はこの秘密兵器によって勝利に浴してきました。


"LIFE" 1971.11.19

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