創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(183)フォルクスワーゲンの広告(85)


土・日サービス ---日本はおろか、米国でも公開されることのなかった---つまり、クライアントのVW側がガンとして掲載を承知しなかった、俗にいう「ボツ原稿」。クリエイターの一人---ヘルムート・クローン氏は死ぬまで「愛着のある、すばらしい作品なんだが---」とぼやきつづけた。DDBにさえも、VW側から「ボツ」にされたものも結構あるということ。ましてや------
自社製品の全貌を見せないで、製品を語るという、凄腕のクリエイティビティ・シリーズ---第25弾は、ロールス・ロイスを引き合いに---いつものものと違い、もってまわった言い方をしているので訳に自信はない。乞ご指導。

どうやら、業界専門誌用の広告ではなかってかと推察。

「専門家が敵にまわる」 「ロールスが苦笑する」 「in between が憤慨する」「読み手がいやな感じをもつ」とお感じになったら、星マークの添付 ☆クリック→ をお忘れなく。



フォルクスワーゲンがここへ---来年は、良い年になりそう」


まず、専門家は、私たちのフォルクスワーゲンのビジネスの全貌なんて、予見もしていないでしょうね。
私たちはうかつにも、専門家というのは、いつも結果論(あと解説)だってことも、知りませんでした。
それで、私たちは、多くの人たちが、フォルクスワーゲンをお求めになるのを、どうにも止めることができませんでした。
毎年、私たちの車の販売台数は、年ごとに、前年を上まわりました。
1964年は24万台でした。 今年、もっと増えるでしょう。 米国内で100万台が走っている勘定です。
おかしなことに、そのVWがどれくらい古い年式ものか、だれも知りません、気にもかけていません。
知っていることといったら、驚異的な燃費効率とタイヤが長持ちすること。 どこでも駐車でき、不凍液のことなんか忘れていていいということ。 サービスと部品が必要になったら、いつだって間に合うということ。
その結果、フォルクスワーゲン・ディーラーは、1ディーラーあたり、どの車のディーラーよりも多くの台数を販売しているということです。
まあ、そのうちの幾人かがロールス・ロイスを買いに行ったとしても、非難すべきではありませんね?
両者の中間は、問題外ですしね。




"It's been a pretty good year for us here at Volkswagen."


At first, the experts wouldn't have given us 2c for the whole Volkswagen business.
Luckily for us, we didn't know about the experts until it was too late. So we couldn't
stop people from buying Volkswagens left and right.
Every year, we sell more cars than we sold the year before.
In 1964, it was 240,000. This year it will be more. In all, there are way over a million in this country.
Nobody knows how old the next guy's VW is, and nobody cares.
All they know is that they get phenomenal gas and tire mileage. They park anywhere and never have to fool around with anti-freeze. And they can get a part when
they need it and service when they want it.
The result is that Volkswagen dealers sell more cars per dealer than anybody.
So if a few of them get bored enough to go out and buy Rolls Royces, who can blame them?
There's so little in between.