創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(159) ロール・パーカー夫人とのインタヴュー(5)

ドイル・デーン・バーンバック社 副社長兼コピースーパバイザー

ロール・パーカー夫人とのインタヴュー(1)(2)(3)(4)

担当が替わるときには---


chuukyuuDDBでは、当初スーパパイザーが担当したアカウント(お得意)を、1年後ぐらいに、もっと若い人とか別の人にまわすことがあJ)ますね。ところが一方では、フォルクスワーゲンのレブンソン氏やベター・ビジョン協会のメドウ氏のように、なん年もずっと書きつづける場合もある?」
パーカー夫人「必ずしも2つにわかれているとはいい切れませんけど---ライターにアカウントが渡されますね。たまたま、その人が昇格してコピー・スーパパイザーになったとします。そうすると忙しくなりますし、グルーブの中のたくさんのアカウントを見なければならなくなるでしょう。こんな場合には、担当していたアカウントをグルーブの中の誰かに渡さねばならなくなります。
でも、そのライターが、そのアカウソトが非常に気に入っていて、手離Lくないといった場合---たとえばメドウさんのベター・ビジョン協会のような例ですね---彼はこれでたくさんの賞を受けています---には、長いこと持っていることになります。
フォルクスワーゲンも同じで、これは書いてとても楽しいアカウントなのでのレブンソンさんがあんなに長い間担当していたのも、そのへんに理由があるのでしょう。
つまり、型にはまった形式なんてまったくありません。ア力ウントの割当や担当替えは、いつも自由で融通性に富んでいるのです。
でも、 こういうことはありますね。コピー・チーフであれ、スーパバイザーであれ、ジュニア・スーパバイザーであれ、その人がしばらくある商品について書いていているとしますね。ところが、どうもピンとくるものができない場合ってありますでしょ。そういう時、別のアイデを持っている人がやったらうまくいくかもしれませんね。こういうわけで、ほかの人が担当するケースもあっていいわけでしょう?
それから、大きなアカウントがはいってきちゃって、とてもいままでどおりにはさばききれない時にも、持っていたアカウントをほかの人に渡すこともあるし、自分でどうもうまくいかないと感じて、自分からすすんでほかの人にやってもらうケースもあります。
これは、ごくごくまれな例ですが、ほかの人にやらせてみないかね? と指示を与える暴合もあります。
ライターの選択はすごく注意深くやられます。それと、人選する人びとも、ライターの自信に水をさすようなことは極力避けるようにしていますし」
chuukyuu「自分が担当していたものをほかの人に渡す時には、どんなふうな渡し方をしますか?」
パーカー夫人「商品にもよりますし、自分が楽しみながらやっていた仕事、それか自分があまり好きじやなかった仕事、うまくいかなかった仕事を渡す時にも気持ちに違いがでますね。
でもまあ、一般的な渡し方としては、そのアカウントに関するありとあらゆるファクチュアルなインフォメーションを与えます。
しかし、どういうふうにやったらいいかといった種類のアドバイス的な指示は与えません。
もし、自分が担当していた時の経験の中で、次に担当する人にブラスになると思われるようなことがあれば、それは話しますが、どうすればいいかとは絶対にいいません。影響を与えてはいけません。
それも事情によりますよ、というのは、次の担当ライターが、自分のグループの人間か、ほかのグループの人かで、ちょっと違ってきますね。
同じグルーブの人であれば、自分の下にいるわけで、スーパバイズしなけれぱなりませんから、間披的に自分が垣当していることになりますね。この場合は、無意識のうちに、あるいは感情的に影響を与えてしまうということになってしまいます。
グルーブ外の人が担当することになれば、もう私の手から離れるわけですから---。
このご質問についても私個人の意見では、ある程度継続して担当したほうがいいと思っています。
でも、フォルクスワーゲンのように、基本的に、あるネライでもってキャンペーンが始まったものは、あと、だれが引きつごうと、基本的なテーマを変えることばできませんし、変えてはいけないと思います。ライター個人のプライドとか、立場も大切ですが、それ以上に、いかにして最良の広告をつくり出すかちということが重要なのです」


>>つづく