創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(1073)ベスト・セレクション(268)ジャマイカ(5)

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ジャマイカ観光委員会・広告シリーズ(5)




DDBの3人のヴェテランのコピーライターが「ロンは名文家だ」とうらやましやましがった。


一人はサム・カッツ(男性)。毎金曜夕方スェーデンの恋人も元へ飛び、月曜朝ニューヨークへ出勤。
ロンをすっかり尊敬していたが。退社してストックホルムへ転職。


オーバックス・デパートのコピーをひとりで担当しつづけたジュディ・プロタスも
「ロンのように書たいわ。どう学べば、ああいう風に美しく韻がふめるの?」


最後はぼくの親代わりのロール・パーカーさん。「ジャマイカ、こんどうちのチームの担当になり、
女性コピーライターをあてたんだけど、ロンみたいに鋭く書けるか、心配」


ロンの眼はユニークで旅行者の視点がじつに巧みだ。
ところで今日のモデル、サム・カッツみたいだけど、失恋して流れついたのかな。




ジョン・ラーセンさんは、ジャマイカに住むたった1人のスウェーデン人で、
人混みが苦手です。
だから、一度に4人がやっと入れる広さのバーを建てました。
(うーん、でも可愛い娘ちゃんが来れば、
場所を作ってくれると思うがね。)


ジョン・ラーセンさんは、世捨て人というわけではありません。ただ単に、孤独を求め人里離れた所でゆっくり過ごしたいと、ジャマイカに来ただけです。そして、大勢の人に囲まれるなんてとんでもないと思っています。(ジョンにとって、2人でも多いのです。・・・ただ、彼も生計を立てなくはなりません。)
モンテゴ・ベイ市オレンジ・レインにあるジョンの小さなバーは、木と煉瓦でできており、暖炉があります。テンポの早いジャマイカナイトライフを満喫した後、静かに自分だけの時間に浸る、もってこいの場所です。
ここで、黙々とウイスキーを飲んでもよいし、または、もしお望みでしたら、軽い会話を楽しんでよい・・・六か国語のいずれかの言葉で。(ジョンは、スウェーデン語、フランス語、ノルウェー語、ドイツ語、英語、オランダ語を話します。)
ジョン・ラーセンさんの「小さな宿屋」には、リンボ・ダンサーやカリプソ・バンドもいなければ、火吹き芸人や曲芸師もいません。立派なメニューすらありません。ジョンは、スウェーデン訛の英語をしゃべりながら、「次の所につくまでお腹が持つちょうどいい塩梅の食事をだしてくれます」。しかも、6/6より高い食べ物は一つもありません。(時代がかったレジスタ−では、それより高い金額は、打てないのです。)
ジョンのバーは、イン(宿屋)と呼ばれていますが、宿泊するお部屋はありません。
ですが、もし、親密さ、温かさ、低価格、どの点においても、ジョンのバーに匹敵する小さなホテルに泊りたいと思われるなら、キングストン市の街を見下ろす山頂に張り付くように建つ「ストーニー・ヒル・ホテル」があります。
この一階建の小さな角張った建物は、素晴らしく奇抜で、驚きがいっぱい詰まっています。
そして、なかでも一番の驚きは、このホテルのオーナー、ラリー・ワースさんです。ニューヨーク出身の元振付師で同じく孤独を求めてここに来ました。夏の間、一泊10ドルでラリーと彼の妻イボンヌのホテルに滞在することができます。・・・朝夕の食事、バレエのレッスンと思いもよらなかった素敵な思い出がついています。
ジャマイカらしい自分だけの時間の過ごし方、ジャマイカならではの驚きに関する詳しい情報については、いつもご利用になられている旅行代理店またはジャマイカ観光協会にご相談ください。


C/W ロン・ローゼンフェルド Ron Rosenfeld
A/D ボブ・ゲイジ Bob Gage
Foto 


"LIFE" 1964.04.17
翻訳:木原夫人




John Larsen, Jamaica's solitary Swede, 
doesn't like crowds.
That's why he built a bar big enough
to hold only four at a time.
(He'll always make room for a pretty girl, thought.)


John Larsen is not quite a hermit. It's just that he came to Jamaica for solitude. And he's not about to surround himself with throngs of people. (With John, even two's a crowd --- but he's got to make a living.)
John's bricked, timbered and fireplaced little bar on Orange Lane in Montego Bay is a good place to retreat to when you've had enough of the boom-boom temp of Jamaica night life. Here, you can have your whisky in silence. Or, if you'd prefer, with some good conversation --- in any of six languages. (John speaks Swedish, French, Norwegian, German, English and Dutch.)
At John Larsen's Little Inn there are no limbo dancers, calypso bands, fire breathers or jugglers. There's not even a big menu. John will feed you "yust enough to get you to the next place." But nothing costs you more than 6/6. (His ancient cash register won't ring any higher.)
Although John's place is called an Inn, there are no overnight accommodations. But if you'd like to sleep in a small hotel that will match it in intimacy, warmth and low cost, there's the Stony Hill Hotel, pinioned to a mountaintop overlooking Kingston. This small, beautifully wacky structure is all levels, angles and surprises. And the biggest surprise of all is Larry Wirth, the owner. He's an ex-choreographer from New York who also came here for solitude. During the summer, you can stay with Larry and his wife Yvonne, for $10 a day --- including breakfast, dinner, ballet lessons and surprises.
For more on Jamaican solitude and surprises, talk to your travel agent or Jamaica Tourist Board, Dept.4B, 630 Fifth Ave., N.Y.C.




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