創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(738)クロード・ホプキンズ『科学的広告法』こだわり(26)


坂本 登さん訳『科学的広告法』(1966.10.05 誠文堂新光社)より


クロード・ホプキンズの名言(17)


第20章 広告を助けるブランド――から 昨日のつづき


「同じ造語でも、製品の内容をズバリ表現したものがある。シラップ・
オブ・フィッグスSyrup of Figs(イチヂクのシロップ)、ココナット・
オイル・シャンプー Coconut Oil Shampoo (ヤシ油シャンプー)、タ
ー・ソープ、Tar Soap(タール基剤石鹸)、パーモリーブ・ソープPalmo-
live Soap(パーム油とオリーブ油基剤石鹸)などがその例」


「これらの製品は、値段さえ高くなければマーケットを支配するまでに
伸びるだろうが、きびしい競争に巻き込まれるものと覚悟しなければな
らない。必ず類似品が出るからだ。名称は異なっても、構成要素が類似
していれば競合品と同じ分類に入れられるから、価格は他と歩調を合わ
せなければならない」


「このような不幸な商標名の例として、トーステッド・コーン・フレー
クスToasted Corn Flakesとモルテッド・ミルク Malted Milkがあ
る。いずれの場合も新規需要の創造になみならぬ努力をそそいだが、い
ざ需要が高まったら他の広告主にシェアの一部をさらわれてしまった」


「元祖の広告主は、ブランドだけにたよりきっていた。こうしてみると、
造語の商標がいかに有利かがわかる」


「商標登録製品の場合は、有効期限が切れると同時に商標の特許権も消
滅することを覚えておかなければならない。カストリアとか、アスピリ
ンとか、シュレデッド・ホイート・ビスケットなどはその例。今日では
通名詞になってしまった」


「造語にも問題がないではない。軽薄さがそれである。ユニークさを重
くみるあまり、ついくだらぬものを選んでしまうということがよくある。
アソビの許されない製品にあっては、これが致命的なハンディキャップ
になることすらある。信用などはとても望めたものではない」


「どうしても一般的な名を用いなければならないようなときは、人物の
名を用いるのが一番良い。だれかが名前を用いられたことに誇りを感じ
ているということが表示できるだけでも、意味のない造語を用いるより
はずっといい」


「商標名は新しい事業の基礎を築く上に重要な問題となる」


この章、完。