(713)クロード・ホプキンズ『科学的広告法』こだわり(13)
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坂本 登さん訳『科学的広告法』(1966.10.05 誠文堂新光社)より
クロード・ホプキンズの名言(7)
第9章 広告のアート――から
「広告に絵(写真やイラスト)を使うことは非常に費用がかかる。立派
なアート作品を制作すること自体にカネがかかるばかりでなく、スペー
スのコストも高い。現に広告キャンペーンの1/3から1/2は絵の力によ
って危険性が左右されている」
「費用がかかるものは、何ごとによらずそれだけの効果があがらなけれ
ばならない。さもないと、おびただしいムダが生じる。それだけに、広
告におけるアートの研究はきわめて重大な問題となる」
「単なる興味本位、注意を引くため、あるいは、広告を飾ろうといった
単純な目的で広告に絵を使うべきではない」
「広告は人の興味を引いたり、喜ぱせたり、楽しませるためにつくられる
ものではない。単に大衆の目を楽しませるというのではなくて、おカネ
を使わせるという真剣な問題から発するものであり、語りかける相手も
一定の限られた人びとである」
{絵を用いるのは、諸君に利益をもたらす人びとを引きつけようとするとき
か、一定のスペースを活字で埋めるよりは絵を用いたほうが販売の意図を
伝えるのに効果があるという場合だけに限るべきである」
「化粧品の場合、うらやましいほどの美貌の持ち主を写真に用いるのは、
強い誘引力がある。もしここに魅力的な男性を加えるならば、効果はも
っとあがるだろう。女性が美しくなりたいと願うのは、男性がいるから
である。そこで効果をいっそう高めるために、男性がいかに美しい女性
にあこがれるかという情景を描写してみるのである」
「冗談にも、茶化してはならぬものが二つある。ビジネスと家庭がそれ
である」
「エクセントリックな絵は、甚大な損害を与えることがある。道化たり、
おどけたりすることによって人の注意を引くことはできようが、逆に販
売の可能性を失うことが多い」
「エクセントリックな絵は主題から注意をそらしてしまう。これは許さ
れないことである。諸君の訴求の主力はあくまでヘッドラインにあるは
ず。これを陰の薄いものにしてしまったのでは、殺したも同然である。
一般の人から役に立たない注意を引こうとして、ねらいとする人びとか
らの注意を犠牲にするようなことがあってはならない」
「絵が商品の販売を助けることは確かである。絵を使うからには、同じ
スぺースを別の手段で埋めるよりも、はるかに大きな効果が期待できな
ければならない。効果があがらないときは、別の手段をとることだ」
「広告における絵が、ストーリーを伝えるという点で活字などには及び
もつかぬ効果をあげる場合が多い。″はじき米″の広告では、米穀類の
絵がきわ立った効果を出していた。何よりも読者の好奇心をそそる」
「色刷りと白黒とでは、どっちが有利だろうか。われわれがこれまでに
集めた調査資料によると、いちがいにどっちが有利だという結論は出せ
ない。しかし例外はある。食料品などは色刷りのほうがずっといい。オ
レンジ、デザート類も色刷りがいいことは、調査結果にも現われている
色刷りにすると、商品を実際に展示した効果が出せるものだ」
「もちろん、読者の目を楽しませようとか、注意を引こうというねらい
だけで色刷りにしたものは、ただそれだけに終わってしまう。多くの人
を楽しませることはできても、肝心の読者対象から希望する声は聞き出
せない」
「商売をするのに、小屋のような店舗でやる人もいれば、宮殿のような
りっぱな店構えでやる人もいる。だが、そんなことはどうでもいいこと
だ。問題は最大の成果をつかむその人の力量なのである」
第10章 コスト高なもの――から
「広告には、何かやろうとすると非常に経費のかかるものがたくさんあ
る。そのために、どんな計画でも方法でも、費用や成果をはかる既定の
尺度に照らして、いちおうこれを検討してみる必要が生じる」
「費用がかかるといえば、人間の習慣を変えさせることも非常にカネの
かかるものである。このような計画は、あだやおろそかには実行できな
い」
「一例をあげると、歯ミガキの広告主は人びとに歯をみがく習慣を身に
つけさせるため、多くのスペースと費用を投じるかもしれない。ところ
が、われわれが知る限りのテストでは、このような習慣を変えさすため
の費用は、一人当り20ドルから25ドルを要するという結果が出てい
る。このように費用が割高なのは、習慣を変えさすことがむずかしいばか
りでなく、広告の大部分がすでに歯をみがく習慣を身につけた人びとに到
達しているからなのである」
「かつてある広告主が、多額の費用をかけて朝食にオートミールを食べる
習慣を普及させようとしたことがある。ところがその反響は、気の毒なほ
ど微々たるものだった。無理もない。いまさらオートミールを知らぬ人間
は一人もいなかったからである。子供に適した食べ物という点では昔から
だれもが知っていたし、医者もそれを長年にわたって推奨してきた。
それなのに、いまもってオートミールを口にしない人がいるというのには、
ちっとやそっとの説得では習慣を変えさせられない深い根拠があるのかもし
れない。このような人びとにオートミールを食べさせようとしても、どだい
それは無理である。費用のかけ損に終わってしまった」
「個々の広告主が、ビタミン剤や殺菌剤の使用を普及させることもむずかし
い。元来、このようなものは当局が無料のスペースをふんだんに利用して国
民一般に普及徹底させるべき筋合いのものである。一方、すでに予備知識を
持つ人びとに働きかけながら、買ってみたいという欲求をかり立てて多大の
成果をおさめた実例も多い」
「世の中の動き、ことに新しい欲求の台頭を注意ぶかく見まもることは、如才
のない方法だということになる。このような動きを見てとったら、機を逸せず
に、これらの欲求を満たすべく消費者に働きかけることである」
「ヘッドラインにしても、書き方一つで売上げを10倍に高めることができ
るのである。この点が納得できない限り、広告するたびにますます迷路に深
くはまり込んでしまうものだ」
「練り歯ミガキは虫歯を予防するということになっている。同時に、それは歯
を美しくするという効能も持っている。では、虫歯の予防と歯を美しくするの
とでは、どちらが強い訴求力を持つか。これをテストしてみると、歯を美しく
するというアピールのほうが数倍も強力という結果が現われるに違いない。
歯ミガキの広告で成功しているものは、ヘッドラインで虫歯には一言も触れな
いようにしている。虫歯の予防が消費者に不快感を与えることが、テストによ
って実証されているからである」
「石鹸には湿疹の予防と、肌をきれいにする効能とがある。ところが強調点を湿
疹の予防に置くと、アピールするのはせいぜい百人中の一人ぐらいだが、肌をき
れいにするといえば一人残らずが魅力を感じる」
「反響の結果調査を行なわずにただ暗中模索を繰り返すことは、国債償還額ほどの
出費をむだにしてしまう。こうしたむだな出費が広告で墓地を埋め、利益をあげら
れたはずの何千人という人びとを失意のドン底に追い込んだのである。
これに気づいたとき、知識の夜明けが訪れる。この知識の夜明けが広告の世界に新
しい時代を築きつつあるのだ」
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