創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

[6分間の道草](695)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるソニーのシリーズ(21)

繁栄を確約する広告代理店DDB』(誠文堂新光社 ブレーン別冊 1966.10.01)より。


■ ネガティブ・アプローチ(下)


アメリカでは伝統的に「ポジティブ・アピール」が好まれてきました。
アメリカの大部分の広告が楽天主義者がつくったのかと思えるのも、
その一つの例といえます。


また、伝説的なコピーライターであるジョン・E・ケネディや「科学的
広告法」の著者であるクロード・ホブキンズ、あるいは心理学者など
までが 「ポジティブ・アピール」の有利性に言及しています。


しかし、別の研究によると「ネガティブ・アピール」も「ポジティブ・ア
ピール」も効果的にはあまり差がないともいわれています。


いずれの場合でも、そのアイデアがはっきりしており、そのアピール
がユニークであればよい効果が得られるのです。
一説によると 「ネガティブ・アプローチ」は、小スペースの場合には特
に効果が高いともいわれています。


DDBの創業時にはクライアントもまだ小さかったのです。
小スペースを利用することも多かったのではないでしょうか?
そうして、16年たった今日(1966年現在)においても、DDBの
「ネガティブ・アピール」は、凡百の「ポジティブ・アピール」広告の中でも
目だつのです。


ところで、ソニーの広告ですが、盛田さんの要請でDDBは「ポジティブ
・アピール」を用いて新鮮で、ユニークな広告をつくったといえます。
ここでは、DDBが「ネガティブ・アピール」のときに得意とするユーモア
が「ポジティブ」な形で生かされています。


一連のこれらの広告をみた、関西の某弱電大メーカーの最高幹部は、翻然と
悟って、それまでアメリカ向けの広告制作をまかしていた日本の広告代理店
から扱いを引き上げて、アメリカ国内の広告代理店に試作を求めました。
もっと早く、日本の経営者の方々がDDBに気づいていれば、いまさらあわ
てなくてすんだでしょうに……。(この章、了)




ウォルター・クロンカイト対ダフィー・ダック


会社での忙しい一日を終えて、たったいま、あなたはご帰宅。
あなたがなにより望むのは、テレビの前に腰を下し、ウォルター・
クロンカイトが威厳をもって報じるニュースを見ることだけです。
不幸なことに、遊び場に行っていたあなたの子どもたちが同じよう
に、たったいま、遊び疲れて戻ってきたのです。彼らがなにより望
むのは、テレビの前にデンと構えて、ダフィー ・ダック独特のなん
ともいえない声にその日の疲れを癒すことだけなのです。
そこで問題が生じることは明らか。それを解決することが私たちに
できるのもまたしかり。ソニー900Uテレビ。
この画面は(8インチ)、夫婦が揃って見るのに丁度よい大きさです。
(奥さんももちろんダフィー・ダックよりウォルター・クロンカイトを
お好みと考えての話ですが)。
このテレビはAC電源でも、再充電できるバッテリ(オプション)で
も使用でき、チラツキを押さえるために、画面は特別に黒で仕上げて
あります。
無論、(なにごとにつけそうですが)、問題はいくらかかるかで決まる
のです。 これは約129ドル95セント。
ウォルター・クロンカイトはその値段に値しますよ、ね。
家庭平和の使者---ソニー


C/W
A/D
”The Newyorker" 1968.10.12



Walter Cronkite vs. Daffy Duck


You've just come home from a hard day at the office.
All you want to do is sit in front of the television
and watch Walter Cronkite authoritatively reporting
the news.
Unfortunately, your kids have just corne home from a
hard day at the playground. And all they want
to dO is sit in front of the television and relax to
the soothing sound of Daffy Ouck's voice.
Obvciously, you have a problem. And obviously, we have
the solution. The Sony 900U TV.
The screen (8" measured diagonally) is big enough for a
full set of parents. (We're taking it for granted your
wife prefers Walter Cronkite to Daffy Duck, too.)
It works on AC house current or optional rechargeable
battery pack, And it has a special black screen Which
reduces glare. (In case you and your wife like your news
on the patio.)
Of course, solutions (like everything else) cost money.
This one costs about $129.95.
Walter Cronkite is worth every penny of it.
The Sony Family Peacemaker.

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