創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(676)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるソニーのシリーズ(2)


昨日からの1週間は、DDBを選んだソニーの盛田さんが「DDB広告だね」と呼んだ1964年分です。
「1年間は見守っていてやろう」と社員をなだめ、「ソニー=DDB広告」と呼ばれた1965年からの分が、日経ホールで披露(昨日アップ分)されました。
「DDB広告」と「ソニー=DDB広告」の違いを考えるだけでも、経年順のこのシリーズの意味はクリエイターにとって大きいとおもいます。



繁栄を確約する広告代理店DDB』(誠文堂新光社 ブレーン別冊 1966.10.01)より。



■50万ドルのアカウント


ソニーがDDB(ドイル・デーン・バーンバック)とアカウントを開いたのは
1963年12月でした。
もちろんこのソニーは、アメリカ・ソニー社です。


このときのいきさつ、その後の経過を、当事者のソニーの盛田
副社長(当時・故人)から詳しく開いたことがあります。
盛田副社長は、VWビートルの広告キャンペーンに興味をもっておられ、
かつ、アメリカVW社の最高責任者(この人の名を聞きもらしましたが、
たぶん、カール・H・ハーン氏ではないかと推察しています。この人は現
在、ウルフスブルクの本社で、世界を相手にした販売関係の
責任者だそうです)と親しくされていたとのこと。(1965年当時)


この人は、盛田副社長とバーンバック社長をランチに招待しました。
盛田副社長の話によると、この人は、アメリカに着任すると、1年分の
新聞・雑誌をめくり自分がよいと思う広告をチェックし、それらの広告を
つくった広告代理店を秘書にリストさせたといいます。
まことに実証的な、そして合理的な代理店選定法です。


結果は、リスト・アップされた広告の70%がDDBがつくったものだったそうで
す。こうしてアメリカVW社とDDBとの関係が始まったのです。


さて、盛田副社長とバーンバック社長との出合いは、こんな会話で始まった
といいます。


バーンバック 「DDBをより発展させるために幹部会を開き、見込みクラ
イアントをリストした。日本からはソニーを選んだ。
DDBはソニーに興味をもっている」
盛田 「いくらの年間広告予算で引き受けてくれるのか?」
バーンバック 「DDBが現在引き受けている年間広告予算の最低線は
100万ドルである」
盛田 「ソニートランジスタ・テレビとトランジスタ・ラジオで50万ドル
の広告予算であるが、やがてもっとふえると思うが---」
バーンバック 「DDBはソニーに興味をもっている。50万ドルで引き
受けよう」


こうしてDDBはソニーを選び、フィルコ(電機会社)を断わることになった
のです。
あっけないくらい簡単な取引き成立でした。



テレビの過剰が我慢ならなくなったら
引出しにしまっておくこともできます。


テレビはすばらしいものです。
あなたの家庭に世界を持ちこんできます。何時間もぶっ通しで---。
けれども、ときには見たくないと思いませんか? 1時間とか1晩とかは。
ほとんどの人がそう考えながらできないのは、ごく単純な理由によります。
ほとんどのテレビが大きすぎて、無視できないのです。
ご覧のソニーのマイクロ・テレビのスクリーンは5インチです。
見たいときにはちゃんと見えます。見たくないときに無視するのも簡単です。
テレビが家中を支配しないので、犠牲者となる代わりに批評家になれます。
その重さは8ポンド。見あきたら見えないところにしまうこともできます。
そして、お子さんに宿題をさせたり、本を読ませたり、ポルトガル語を勉強
させたりすることができます。あなたご自身も。
たいせつな仕事のために時間を使うこともできます。
見のがせない番組になったら、ソニーが真価を発揮します。
画像がすごいのです、今までのどんなものよりすごいのです。絶対といって
いいくらい、画像がちらついたり流れたりしません。
切れる真空管の代わりに、私たちがつくったトランジスタを組み込んでいます。
AC電源のときと同じように電池でトランジスタソニーを働かします。
ですから、車の中でもいい番組が楽しめます。ボートの上ででも----。
湖上のいかだの上で映っているポータブルのソニーを見たり、消したりするな
んて、すばらしい現代生活ですね。



C/W ボブ・レブンソン Bob Levenson
A/D レン・シローイッツ Len Sirowitz
"The NEWYORHWE" 1964.05.16




When you've suffered
a massive overdose of television,
you can stick it in a drawer.



Television is Wonderful.
It brings the world into your home. Hour after hour.
after hour after hour.
But wouldn't it be swell to keep the world, out for an
hour or two? 0r maybe even for a whole evening?
Most people can't tear themselves away from their TV.
sets for a very simple reason;
Moat television sets are just too big to ignore.
The Sony Micro-TV has a 5-inch screen.
It demands your attention you when you watch it.
And it's easy to ignorer when you don't.
It lets you be a critic instead of a victim because it
doesn't dominate the whole house.
It weighs al1 of 8 pounds, so when you're up to here
with TV, you can put of sight. You can help the kids
with their homework Or read a book. Or study Portu-
guese. Or save yourself for the really great programs.
When something worthwhile does come on. the Sony
really shines.
The picture is extraordinary: better than anything
you've seen. It's almost impossible to make it (lip or lop).
There are no lubes to blow; there are no tubes at all.
There are transistors instead, made only by us and
installed only by hand. The transistors let the Sony work
on batteries as well as AC. so you can see the better programs
in your car,
on your boat or even in the middle of nowhere.
Still, one of the great joys of modern living is to have
a Sony portable playing on a raft out on a lake, and to
reach over and turn it off.



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