創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(613)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(5)


売り上げは約3.5倍


キャンペーンの効果は、売り上げの目に見えての上昇、利益の増大となってあらわれてきました。
わずか2ヶ月で赤字を解消したばかりか、逆にいくらかの黒字を計上してしまったのです。
ニューヨーク地区では、わずか1ヵ月のあいだに51パーセントも売り上げがふえました。
ある都市では、No.1にさえなりました。
正確な数字をあげれば、1966年12月までに、短期賃貸しの売り上げは約3.5倍の6,900万ドル強(約250億円)にも伸びたのです。


アメリカ中の人たちが「2位だから一生懸命にやろう」といいはじめたこともあげておきましょう。
母親は子供を、
「No.1じゃないんだから、もっと勉強しなさい」
と無責任にはげまし、百貨店の売場主任は店員たちに、
「もっと一生懸命やろう」        
と訓示したのです。
(具体的に改良点を明示しない掛け声が無意味なことは、お分かりですよね?)


「もっと一生懸命やろう」というだけで店員たちもわかったような気分になったでしょうが、気分ではものごとは好転しません)

 
ある婦人服の広告の見出しに、
「2位でなくて申しわけありません。1位なのです」
という、ふざけた文句が出て失笑を買ったのもこの頃でした。 



エイビスは、指紋跡のついたミラーを許しません。


さらに、埃まみれのサン・バイザーも、塵の落ちている床マットも、生きいいスーパー・トルクつきのフォードじゃないようなことも・・・。
なぜって?
レンタカー業界で首位でなければ、もっと一所懸命にやるしかないでしょう?
私たちは、そうしてます。
だって、2位にすぎないんですもの。


C/W ポーラ・グリーン Paula Green
A/D ヘルムート・クローン Helmut Krone
"The NEWYORKER" 1963.09.07