創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(361)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(58)

この広告から8年ほどのちに、生産は打ち切られましたが、
いまだに、空冷ビートルを愛用しているファンが、日本にも数多くいます。
ニュー・ビートルも販売をやめたようですね。
そうだ、ニュー・ビートルの広告を[ニューヨーカー・アーカイブ]で捜してみなくては。


私たちがかぶと虫を殺すことがあるでしょうか?


とんでもない。
どうしてそんなことができます?
フォルクスワーゲンを世に出したのは、ほかならぬ私たちなのです。何年も何年も育てあげてきたのです。
そのスタイルが世間の物笑いの種になった時も、世界中の人と仲よくできるように---と助けてきたのです。そして今や800万の人と友だちになっています。
私たちは、この車は決して流行遅れにならない(ましてやこの世から消えるなんてことは、決してない)と、この人たちに約束しました。
もちろん、かぶと虫が年々変わってきたことは否定しません。でも、ほとんど気づかれないほどの変化です。
1949年以来、私たちはVWに5,000ヶ所に及ぶ改良をほどこしてきましたが、それらはすべて、車の性能の向上と長持ちにつながるものばかりでした。
少数の潔癖家は、私たちが改良のたびにかぶと虫を殺しているって感じているようですが、やむをえなかったのです。
それが必要な時には、かぶと虫を殺さなければならないのです。これこそが、かぶと虫が死に絶えるのを防ぐ唯一の、そして確実な方法なのですから。


C/W ボブ・レブンソン
A/D レン・シローイッツ


"The NEWYORKER" 1965.08.14
"LIFE" 1965.08.06 





Will we ever kill the bug?


Never.
How could we?
We brought the Volkswagen into the world, and gave it the best years of our life.
When people laughed at its looks, we helped it make friends all over the world.
8 million of them.
And we promised them that this was one car that would never go out of style (much less out of sight).
We won't deny that the bug's been changed. But not so you'd notice.
The 5,000-odd changes we've made since 1948 don't do a thing to the VW except make it work better and longer.
A few purists feel we kill the bug each time we improve it. But we have no choice.
We've got to keep killing the bug every chance we get.
That's the only sure way to keep it from dying.


C/W Bob Levenson
A/D Len Sirowitz

"The NEWYORKER" 1965.08.14
"LIFE" 1965.08.06