創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(351)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(46)


「〔便利な利器〕ではあるが〔カネ喰い虫だね〕」とは、オーナーの何パーセント---いや、半数近くがクルマにいだいていた、ひそやかな気持ちでしょう。が、「〔ステイタス・シンボル〕なんだから」と半ば誇らかに、ちょっぴり痛みに感じるようにはなっていました。とりわけ、ウーマン・リヴ以後の女性の社会的行動活発化で、奥さん自身も運転するようになった日には---。

モノに対する心理的な価値観を変えていくのも、広告の基本の一つです。



遅かれ早かれ、フォルクスワーゲンを所有する利点を、
奥さんが駆使する時がくるでしょう。


やさしく、おとなしいのが女性です。しかもぶつける名人でもある---。
でもフォルクスワーゲンでなら、何にぶつかっても、そんなに大事になりません。
VWの部品は取替えが簡単です。 しかも安い。フェンダーなら自動車半分をはずしてしまわなくても取り替えられます。そして10個のボルトがあれは、新しいフェンダーがついてしまいます。 24.95ドルと取り付け作業費だけで。
そして、VWのディーラーは、あなたがお求めのフェンダーをいつもそろえています。なにしろ、それ1種類しかないんですから。
VWの部品は取替え可能なものがほとんどです。中も外も。
すなわち、奥さんもフェンダーを安心してぶつけていいわけ。
フードだって突いてけっこう。ドアをかすったって平気。バンパーをぶつけたってね。
頭にくるかもしれませんが。貧しくはなりません。
だから、奥さんがVWでウインドー・ショッピングに出かける時も、気持ちをゆったりと。
彼女が自動車を止めるのに使った部品は、うまい具合に交換できるんですから。
それがブレーキであってもね。


C/W ホブ・レブンソン
A/D レン・シローイッツ

"The NEWYORKER"  1964.08.15




Sooner or later, your wife will drive home
one of the best reasons for owning a Volkswagen.

 


Women are soft and gentle, but they hit things.
If your wife hits something in a Volkswagen, it doesn't hurt you very much.
VW parts are easy to replace. And cheap. A fender comes off without dismantling half the car. A new one goes on with just ten bolts. For $24.95, plus labor.
And a VW dealer always has the kind of fender you need. Because that's the one kind he has.
Most other VW parts are interchangeable too. Inside and out. Which means your wife isn't limited to fender smashing.
She can jab the hood. Graze the door. Or bump off the bumper.
It may make you furious, but it won't make you poor.
So when your wife goes window-shopping in a Volkswagen, don't worry.
You can conveniently replace anything she uses to stop the car.
Even the brakes.


C/W Bob Levenson
A/D Len Sirowitz


"The NEWYORKER"  1964.08.15