創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

[6分間の道草](566)ビートル伝説、ぞくぞく

『DDB NEWS』1970年10月号より


パーモント州ブラットルボロのスティーブ・クリーン出版社が『THINK SMALL フォルクスワーゲンの広告物語』という本を出版した(写真:最奥)。
とはいえ、VWとDDBについての、これが最初の本というわけではない。
『小さな不思議 フォルクスワーゲンのすてきな物語』(1965)は、ウォルター・H・ネルソン著、版元はリトル・ブラウン社。翌年第2刷がでており、一つの章がDDBによるVWの広告群の紹介にあてられている。



268ページをそっくり、VWの広告の紹介にあてている日本語の本もわれわれは手にしている(西尾忠久編・訳『かぶと虫の図版100選』ブレーンブックス 1970.3.20 写真:最前、ただし裏表紙

『みごとなコピーライター』と題した、インタヴューされている12人のうち、10までがDDBの現役か過去に働いていたライターで占められている本も届いている。念のいったことに英訳つきである。


ウォルター・H・ブラットルブロウ著『THINK SMALL』は、不恰好な車とDDBへのやむことのない好奇心からその経緯を調べつくしたリポートである。

VWの広告にも書かれているが、1949年に2台のVWが米国で売れただけであったが、ドイツ本社のハインツ・ノルトホフ社長の指揮により、1959年までに150,601台にまで伸ばしていた。

そして、この年、「VWは、2つのすぐれた組織が出会うことにより、目をみはるような広告の歴史づくりに着手したのである」
「設計の基本は変更なしなので、整備員の熟練度は高まり、勤勉さを基準に厳選されたディストリビューターはしゃれた建物を構え、配車はいつも不足ぎみであった。6ヶ月待ちあたりまえであった。

したがって、ドイツの工場は、拡張計画を前だおしにしなければならなかったほどである。デトロイトも、輸入車VWを笑ってみているわけにはいかなくなった。コンパクトカーで対抗しようとしたのである。

「つきつめていうと、米国VW社側のきっちりとした管理体制と、必要な時期に効果的に始められた広告キャンペーンが成果もたらしたといえよう」


chuukyuuのつぶやき
これ以上、苦労して訳すより、すでに全文をアップしている『かぶと虫の図版100選』の解説文のほうが、日本の読み手には理解しやすいとおもうので、それへリンクをはります。

http://d.hatena.ne.jp/chuukyuu/20070814/1187101351

『100選』の新書の全文は英訳されていないので、英語圏の方には、以下『DDB NEWS』のほうをお読みいただくことに。