創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(474)シーヴァス・リーガルの広告(21)


このブログを立ちあげて、1日も休まず、2年と6ヶ月になろうとしています。
いろんな業種の広告を紹介してきました。


ただ、いまやっているシーヴァス・リーガルの広告キャンペーンは、これまでのものとは異なります。もちろん、伝達の達者さ、笑いの良質さ---つまり、何を言うか、如何に言うか、といういい広告の極意は変わりはなく、そのことはあなたもお認めでしょう?


異なっているのは、掲載媒体を『ニューヨーカー』を中心として、その掲載号を明記しているところです。これは、画期的なことなんです。khalki さんに教えられて[ニューヨーカー・アーカイブ]の存在を知ったことも大きいです。いまは廃刊になっている『日米コピーサービス』の[シーヴァス特集号(1979.1.10)]の企画編集に協力してデータが残っていたこともあります。


掲載号が明記されているということは、これから掲示する10数回分も含めて、あなたはそれらをダウン・ロードし、掲載順に並べ替えて観察することができるということです。これは、きのう、kayo さんのコメントで気づかされました。kayoさんは、それによってキャンペーンの推移が読み取れるとおっしゃっていました。なにしろ、十数年におよぶ、銘柄の長期イメージ形成の記録ですからね。


実務に携わっている方々の、いい教材になりましょうね。


このブログの翻訳文の著作権はぼくにあることもお忘れなく。社内や外部に発表になるときには、かならずこのブログのURLを明記なさってください。


実話。


友人が金のブレスレットを買うために、ニューヨーク市のロックフェラー・センターにあるM.A.グラハム宝石店を訪れました。
ショールームには気に入った商品がないと告げたところ、グラハム氏に奥の部屋へ導かれ連れ、そこで安全のためにしまっておかれたブレスレットを見せられました。
そう、写真をご覧になっておわかりの通りもグラハム氏は1600ポンドの金庫に宝石以外のものもしまっていたのです。
グラハム氏は彼の留守中に12年もののシーヴァス・リーガルを従業員たちが盗み酒するのに手を焼いていたらしいのです。
で、そうやって難をのがれようという寸法だったわけ。
ところが万全とはいかなかったようです。
そうです、協同経営者の一人が合鍵を持っていたんです。


1968年9月21日 『ニューヨーカー』




A true story.


A Friend of ours, looking to buy a gold bracelet, went to a jeweler called M.A.Graham & Co. in th
Rockefeller Center area of New York City.
After seeing nothing he liked in the showroom, our friend was taken into the back room by Mr. Craham and shown some additional bracelets he had tucked away in the safe.
Well as you've probably already gathered from the picture, he discovered that Mr. Graham used his 1600-lb. safe to protect more than Just his jewelry.
It seems Mr. Craham had been having a problem with people in the office nippino his 12-year-old Chivas Regal when he wasn't around.
And this was his way of solving it.
Or almost solving it, anyway.
You see, his partner knows the combination.


September 21, 1968 The New Yorker


この事件は実際に起こったことです。
ただし名前は変えてあります。


1969年1月10日。
午後5時半。 ハリス・ウィリアムス夫人とその娘さんは、ロング・アイランドのマンハセットの自宅を出、ケネディ空港まで出張帰りのウィリアムス氏を迎えに行く。

午後7時半。 ウィリアムス氏到着(悪天候のため1時間遅れて)。

午後8時。 ウィリアムス一家はロングアイランドの小さなレストランに夕食に立ち寄る。

午後9時。 帰宅すると、家が荒らされているのを発見。警察に電話。

午後9時15分。警官到着。 ウィリアムス一家と盗難品リストを作成。銀器(ステンレス製は無事)。カラーTV(白黒テレビは無事)。シーヴァス・リーガル8本(普通の酒は無事)。

午後10時。 警官、雰囲気を柔らげようと、泥棒の趣味の良さを誉める。

午後10時1分。 ウィリアムス氏夫妻、ニコリともせず。


1969.11.15  『ニューヨーカー』




The following events actually took place.
Only the names have been changed.


January 10, 1969.
5: 30 P.M.−MrS. Harris Williams and her daughter left their home in Manhasset. L.1., and drove to Kennedy Airport to pick up Mr. Williams who was coming home from a business trip.


7:30 P.M.−Mr. Williams'flight landed (one hour late, due to inclement weather).


8:00 P.M.−The Willinms family stopped off at a small Long Island restaurant for some dinner.


9:00 P.M.−They arrived home, found the house in shambles and called the police.


9: 15 P.M.−The police got there and togethcr with the Williamses compiled a list of the articles missing. Among them were: the sterling silver (they left the stainless); the color TV (they left the black and white): eight bottles of Chivas Regal (they left the ordinnry liquor).


10:00 P.M.−The police attempted to add some levity to the situation by commenting on the thieves' ,goodl taste.


10:01 P.M.−Mr.and Mrs. Williams didn't laugh.


November 15, 1969 The New Yorker