創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(208)[ビートルの広告](109)


さまざまな方法で図版をつくっています。やってないのはPC上での修正。できないのです(いつかどこかで習おうとおもってはいますが、準備とアップとに追われて時間がとれない。なんとかせねば---)。楽屋裏をあかしてはツヤ消しだが、これは製図用のカラーコピー機でモノクロ複写。(広告)コピー・ブロックは極上質紙に普通のモノクロ・コピー機でとったものを貼り付け。
朝4時に車で、だれもいない工房へ行って作業しています。
VWが南極陽焼けしたみたいに真っ黒になったのは、氷塊と雪のディテールを出すため。VWはいつもと同じですから。
いろいろ、気をつかってます。
ところで、オーストラリア隊以外のチームは、どんな車だったのでしょう? オーストラリアVW社だけがハウス・オーガン(PR用社報誌)に記事を載せていたのだとすると、ほかの参加数ヶ国のVW支社の広報係はぼんやりしていたのでしょうね。


地球の果てでの最初の車。


オーストラリア探険隊は、えり好みなんかしませんでした。
ただ「どの隊員も、ヒョイと飛び乗り、一瞬の躊躇もしないで走りだすことのできる」車がほしかったのです。
そして、フォルクスワーゲンがその条件にぴったり合っていたというわけです。
お手柄は空冷式エンジンでした。ラジエターも不用、そんなもの無しで動くのです。
(南極第1号車は、零下50度で、何日もの放置されていたのに、身震いすらしないで動き出しました)。
リア・エンジンなので、VWの牽引力はすばらしく、斜面をずんずん登り降りすることができました (でも、ほんのちょっとした仕掛けはしました。時にチェ一ンを巻いたのです)。
犬も行けないようなところにフォルクスワーゲンが行き得たもう一つのわけは、密閉された腹部のおかげです。
おそろしく音はします。しかし、それがそこにある理由です。つまり、内側の機構を外気から守るのです。
あんまりらくらくとうまく行くので、こういった隊員がありました。
「地球が全部凍ってもVWがどんな具合でいられるか、わかったよ」
そうならなくっても、どの車を買えはいいか、もう、おわかりですね。


『ルック』誌 1965.1.16号




The first car at the bottom of the world.


The Australian National Research Expedition really had no choice. without a moment's hesitation."
And the Volkswagen just happens to fill the bill.
The big trick is the VW's air-cooled rear engine. It has no radiator. It uses no water or antifreeze. It just goes.
(Antarctica #1 stood for days at 50°below zero and started without a tremble.)
The rear engine gave the VW so much1 extra traction it climbed "straight up and down the slopes." (But they cheated a little; sometimes they used chains.)
Another reason the Volkswagen went where even the dogs wouldn't go is its sealed bottom.
It took an awful beating, but that's what it's there for: To protect the works inside against the weather outside.
Things got so fierce that one man said "Now we know what it'll be like when Hell freezes over."
So if it ever does, you know what car to buy.


Look, January 16, 1965