[効果的なコピー作法](5-2)
新聞記者は、記事の基本は5W1H---When,Where,Who,What,Why,How---と叩きこまれると、聞いたことがあります。ヘッドラインもこの一つを使うのが古典的な作法のようです。この章で引用する4例のうち、3例が、Why---です。検索でオリン(GoogleではOlin)を呼び出すと、Who---のみごとな例が見られます。それで思いついたのですが、「この味(モチモチとか、ハンナリとか)、なんでやねん(Why)?」の「なんでやねん?」をそれぞれの地方の言葉でやるCMもつくれるなあ---と、ふと。
第5章 コピーの流れ(2)
■[流れ]のタイプ
27ヶ所も変わりました。おわかりでしょうか?
'61年型フォルクスワーゲンの初公開写真です。 '60年型とそっくりに見えるでしょう。
全長を伸ばしも短かくもしませんでした。フィンもつけ加えていませんし、除きもしていません。フェンダーテール・ライトも変えていません。
私たちは、廃物化さすためのプランなんか採用しようとは思っていません。製造治工具の変更に金をかけるかわりに、そのし分だけ、よりよい車をあなたに提供するための方に使いました。
'61年型VWはエンジンを4馬力アップしています(馬力競争にVWを引き入れようというわけではありません。加速性能に生き生きしたタッチを加えたかったからです)。
前進ギアはロウもふくめてシンクロメッシュになりました 。(走行中でも)セカンドからロウーへのシフト・ダウンは、ほかのシフト・チェンジのときと同様に滑らかです。
フロント・トランクは、約2/3倍も広くなりましたが外観は変わっていません。
ウインドシールド・ワッシャーが標準装備になりましたので、それだけおトクです.
これらの改良点(ほかに23ヶ所)が加わってもフォルクスワーゲンは、たったの1,565ドルをすえおきです。 これは 電動ウインドシールド・ワイパー、ヒーター、デフロスターを組みこんだ値段です。
「プロダクト・エンジニアリング」最近号で、米国の優秀な工業デザイナー---J・ゴードン・リピンコット氏が、フォルスワーゲンのやり方の成功をとりあげて、「年ごとのモデル・チェンジはなくなるにちがいない」という見出しをつけています。
どうやら私たちは何かを始めたようです。
『ライフ』誌 1960年10月3日号
Can you see the 27 changes?
This is the first picture of the new 1961 Volkswagen. It looks just like the '60.
We haven't made it longer or shorter.
We haven't added fins or taken off fins. We haven't changed the fenders or tail lights.
We don't believe in planned obsolescence. Instead of putting the money into costly retooling, we've used it to give you a better car for the some price.
The '61 VW engine has 4 more horsepower. (While this doesn't exactly put the VW in, the horsepower race, it adds a nice extra touch of liveliness to the acceleration.)
All forward gears are now synchromeshincluding first. You shift down from second to first leven while you're moving) as easily as you shift into any other gear.
The front trunk is almost two-thirds larger inside, and yet no larger outside.
Windshield washers are now standard equipment, at no extra cost.
With these improvements land 23 more), the Volkswagen is still only $1,565. And that include selectric windshield wipers and the built-in heater/defroster.
In a recent issue of "Product Engineering" Magazine, a leading American industrial desigperi, J.Gordon LippiNcott, pointed to the success of the Volkswagen approach and titled his article: "The Yearly Model Change Must Go!"
We may have started something.
コピーの流れのテクニックを、実際の広告に適応さるとなると、いくつかのタイプを知っていなければなません。どんなタイプを採用するかは、コピー・テーマとコピーの量によります。
M・デボー M.DeVoeは、"Efective Advertising Copy"で、つぎの8つのタイプを挙げています。
(1) 心理的な流れ psychrogical sequence
(2) 例証的な流れ problem sequence
(3) 演縛的な流れ deductive sequence
(4) 帰納的な流れ inductive sequence
(5) 描写的な流れ descriptive sequence
(6) ニューズ的な流れ news sequence
(7) 物語体の流れ narrative sequence
(8) プロットをつけた流れ plot sequence
(1)の心理的な流れというのは、よく使われる、例のA.I.D.C.A方式を援用したものです。すなわち、
A-attention、I-interest、D-desire、C-conviction(確信。これをM-memory におきかえた説がもっぱらですが、正しくはCです)、A-action です。
とはいっても広告の場合には、5つの要素のどの部分を強調するか、それぞれの広告の目的によって異なります。また、この5つの要素のうち、どれをイラストレーションで強調し、どれをヘッドラインで強調するか、コピーライターの的確な判断がなければ、あまり有効な流れとはなりません。
(2)の例証的な流れの典型的な順序は、
a. あなたには悩みがある。
b. わが社の製品は、その悩みを解決できる。
c. ここにその証拠がある。
d. 今すぐこの方がおトクだ。
となります。このタイプのテクニックを援用するには、長いコピーが入るスペースと豊富で信顔がおける証拠資料が必要です。
a.の段階で、読者の悩みを拡大してみせれば、それだけまた、現在うまくいっている人をも不満足に思わせるほど巧妙であればあるほど、成功の度合いが高くなります。
またd. の段階は、省略することもあります。
初めにごらんいただいたフォルクスワーゲンの広告は、やや、このタイプに属します。
(3)と(4)は、観点が逆なだけで、考え方は同じです。すなわも、消費者がその製品を使用することによってうける製品利便と、その製品がもっている各種の特質との双方を提示するわけですが、製品利便を先に出して、それを製品特質またはセールズ・ポイソツで証明した場合には、(3)の演繹的な流れとなり、その逆が(4)の帰納的な流れです。前者は読者のより大きな興味を引きつけ、後者はより大きな確信を植えつけます。
【例21】のビートルの例は、どちらかといえば帰納的な流れのタイプに属します。なぜこの流れのタイプが選ばれたかを考えてみると、乗用草というものは、元来、製品そのもののプロダクト・インタレスト product interest (製品が本来的にもっている製品の興味慶)が高(chuukyuu注 かった)いので、 製品特質を強調しても読者はスルスルと読む度合いが強いわけです。
プロダクト・インタレストについては別の機会にゆずります。
(5)の描写的な流れをとる場合には、写真が重要な役目を果たします。
(6)のニューズ的な流れでは、メッセージ・アイデアの核心をヘッドラインにすえ、次の2,3行で大要をまとめて述べてしまう、いわゆる新聞記事体をとります。
この流れを援用するいちばん有効なやり方は、ヘッディングと第1段落で製品利便を、以下で製品特質を述べる
やり方です。
(7)の物語体の流れは、舞台装置があり、事件があり、登場人物があり、時の経過がある、例のおハナシです。
時の経過がある場合には、後の方の事件から始めるなどして、ドラマチックな仕かけをした方がおもしろくなるでしょう。
(8)の筋のある流れというのは、主として、数コマを使った漫画や写真を中心にした広告の流れです。
以上の説明でおわかりいただいたように、「流れ」といっても、別段目新しいテクニックではありません。論理学や文章学の基礎知識があれは、どうということはないハズです。が、知識があったから、原理がわかっているからといって、それですぐれたコピーが書けるかというと、そうでもありません。そのコピーライターの、想像力と創作力とビジネス・センスに大きく左右されることは、これまでの章で幾度も強調しました。しかし、想像力が豊かでかつ原理をふんまえている方がよりいいコピーが書けるハズです。
【例21】のコピーが1,200語もあるにもかかわらずスラスラと読めるのは、これを書いたケーニグ氏が例証的な流れのテクニックと帰納的な流れのテクニックを、じつにたくみにあやつってコピーを進めていることも一つの大きな要因でしょう。
しかも、サブ・ヘッドで区分けされた各コピーのブロックごとには、ややタイプの異なった流れを巧妙に混入させているのです。たとえは第3ブロックのトーション・バーの項では、ニューズ的な流れを混入させ、第5ブロックでは、物語体の流れを混入させています。
また、文中に( )を多用してその中の文章は、気の利いた表現をとって流れに起伏をつけているあたりも、ケーニグ氏の面目躍如といった感じです。このテのコピーは日本でもっと使われてもいいと思うのですが----。
明日は、[シリーズ広告の流れ]