創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(197)[ビートルの広告](99)


驚異の現象の突発です。このブログです。昨6日のページ・ヴューが1,008(一昨5日は502、一昨々4日275)、ユニーク(人数)のアクセスが365(一昨5日は248人、一昨々4日126人)とどちらも過去最高の数字。もちろん、これまで支えてきてくださったあなたの功績であるとは信じています。しかし、★を献じてくださっているのも、励ましのコメントを書いてくださっているのもレギュラーの方々。で、chuukyuu探偵としては、推理して、一つの手がかりをつかみました。昨年暮れに上梓した『クルマの広告』(ロング新書)のカヴァーの折り返しの著者プロフィールに、このブログのURLを載せておいたのです。新書をお求めになった方々がそれに目をお止めになり、ものは試しとアクセスなさってくださったのではないかと。で、chuukyuu探偵は、つぎのことを案じるわけです---試行の結果、ご満足いただけて、これから先も世界的ケッサクの数々、創造的環境をごいっしょにお愉しみいただけるかと。ま、なにはともあれ、世の不景気風の最中、明るい事件ではありました。今日もつづいてくれますように。


安く買って、高く売る。


あなたの車を売る日が暗黒の火曜日と化すこと、なきにしもあらず。
私たちが、とってもいいものをお教えしましょう。
ありふれたフォルクスワーゲン・ビートル。
公式中古車レコードによれば、新車時に2,000ドルで売られた1969年型ビートルは、中古車となった1971年に約1,550ドルで売れたと書かれてあります。
とりたでての秘訣などありません。
売り慣れた人なら、ビートルは維持費がほとんどかからないので、オイルやガソリンに大金をかけなくてすむことぐらい、よく心得ていらっしゃいます。
ビートルは車底が密閉してあるので、突如として相場が底をつくようなことがないということも。
3年も経った車で「まるで新車なみですよ」という言葉をそえて正々堂々と売れる車など他にないことも。
私たちが1949年にビートルを売り出した時、多くの自動車メーカーは私たちを見くびってました。その彼らも、今や私たちを真似ようとやっきになっています。23年の歳月、1,800万台のフォルクスワーゲンが登場して、やっと誰かさんたちは、ことの正否に気づいたようです。


『U.S.ニューズ&ワールド・リポート』誌 1971年9月16日号




Buy low. Sell high.


The day you sell your car could yery well be Block Tuesday.
Which is why we'd like to let you in on a good thing.
A commnon Volkswagen Beetle.
According to the Offlcial Used Car Directory, a 1969 Beetle that sold new for only around $2000 still sell used for around $1550 in 1971.
Our tip rea11y isn't a revelation.
Seasoned traders have known that since a Beetle requires very little up-keep, you don't( have to make bjg investments in oil and gas issues.
And every Beetle is sealed underneath so the bottom won't suddenly faIl out of your market.
And What other 3-year-old car can be sold honestly with the words: "It looks just like new."
When we inlroduced the Beetle in 1949, a lot of car makers did sell us short.
Now they're trying to make their own.
We'd guess after 23 years and 18 million Volkswagens, somebody out there has spotted a trend.


US News and World Report, September 16, 1971


このテーマは、キャンペーン初期の1960年に、アートディレクター=ヘルムート・クローン氏、コピー=ボブ・レブンソン氏によって、見開きで掲載されました。


新車が安い。

フォルクスワーゲンの新車はたった1,595ドル。そこであなたは、こんなふうにお考えになりはしないでしょうか?
じゃあ、中古だったらまるでタダだろう。
違います。
中古車は高いのです。
というのは、フォルクスワーゲンは世界中のどの車よりも値下がりが少ないからです。
5年目のフォルクスワーゲンは、売りだし当初はその2倍の値段だった国内の多くの5年目の車と、ちょうど同じ値段です。
5年目の他の車よりは5年目のVWをみんな買いたがるのでしょうか?
たいていの5年目の車は、5年目らしく見えるからです。
フォルクスワーゲンはそうではありません。


中古が高い。


洗剤と水があれば、どのVWもみんな今年の型に見えるのです。
VWはまた、修理店で簡単に直せるというのでたいへんな評判です。
年を重ねても美しいというのでも評判です。
最古の型のVWの部品だって、最新のものと同様に楽に手に入れることができます。
たいていはどの年式のものとも取り替えが可能だからです。
煎じつめればこういうことなのです。つまり、VWは車に対する最良の投資になるということ。新車でも中古車でもそうなのです。
ですから、あなたがいつもほしがっていらっしゃったあの安い中古VWが見つけられなかったとしも、まだあなたにはテがあるのです。
新車をお買いなさい。
それを乗りまわしてごらんなさい。




Cheap new.


A new Volkswagen costs only $l,595. So you might think that a used one costs next to nothing.
Wrong.
Used VWs cost plenty.
The fact is, a Volkswagen depreciates less than any other car in the world. A 5-year-old Volkswagen is worth just as much as many 5-year-old domestic cars that cost twice as much to begin with.
Why would anyone sooner buy a 5-year-old VW than a 5-year-old something else?
Because most 5-year-old cars look 5 years old.
But not a Volkswagen.


Expensive used.


Soap and water makes any VW look like this years.
The VW also has a great reputation for putt-putting right past repair shops.
And for growing old gracefully.
You can get parts for the oldest VW as easily as for the newest; most are interchangeable from year to year.
This is what it boils down to: the VW has turned out to be the best car investment you can make. New or used.
So, if you can't find that cheap, secondhand VW you've always wanted, you still have an out.
Buy a new one.
And use it.