(404)ジム・ダーフィ氏とのインタビュー(6)
カール・アリー社 社長 兼 コピー・ディレクター(当時)
ここでも、ダーフィ氏の手による、発言の全面的削除がおこなわれました。まあ、事前に翻訳していたに本文を読むと、この程度の発言内容なら、あってもなくてもいい---と思います。広告代理店が直接関与するのではなく、クリエイター、あるいはアドマンが、自分の信条にしたがって技術・知識を候補者のために提供する---という方式は、ジョンソンの大統領戦で圧倒的勝利をもたらしてDDBが、「当社が扱った中で最低の製品であった」との反省がうまれた、米国広告界のモラルでした。いまでは、テレビに加えて、インターネットが主要なメディアになっています。)
話は自然に、いま(1967=当時)一番の話題であるマッカーシー議員のキャンペーンに移りました。
ダーフィ氏 「マッカーシー上院議員の選挙キャンペーンの手伝いのことについて、少しお話しましょう。
これは、代理店自体が公式に契約しているわけではありません。
何人かの人間が個人の資格で手伝っているのです。ですから、会社の時間ではなって、夜だとかウィークエンドだとかを利用してやっています。
現在では昔と違って、選挙運動というようなものは、エレクトロニクス---いうなればテレビですね、これが利用される場合が実に多くて、テレビの役割というのは選挙運動の場合にとても重要になっています。昔は選挙演説をするのにいちいち足で歩いたんですが、いまはそういうことをしなくてもいいわけなんです。
私たちとしては、いま最も関心のあるのは、できるだけ多くの一般大衆の前にマッカーシー上院議員を登場させ、接触させることです。
すなわちこれは、テレビを通じてキャンペーンをするということになります。ですから私たちの仕事というのは、彼のために売り込みをしてやるということではなくて、彼が自分自身を一般大衆に売ってゆくその手伝いをするということなんです。
したがって、彼がこう言ったとか、こういう考えを持っているとかいうことを、私たちが大衆に伝えてあげるんじゃなくて、それはもう、直接彼から伝えてもらうのです。
ただその場合に手伝いをする、どうしたら彼が自分自身を大衆によりよく売り込めるようにするかということの手伝いをするのです。
50年ぐらい前でしたら、こういう選挙遊動の手伝いということになりますと、その候補者がどっか小さな町で集会を開く、そのためのアポイントメントを取ってやったり、連絡をしてやったり、とそういうことなんですけれど、いまはそのかわりにテレビがあります。
結局、私たちの仕事は、テレビを利用して彼がいかに大衆にうまく接触できるか、この手伝いをすることなんです。ですから、こういう選挙広告の場合には、石けんなんかの品物を売る場合と違って、ご本人が自分で自分を売り込んでもらわなきゃならない、こういうことが大きな違いです。
したがって私たちは商品の広告と同じようなやり方でいけると思っていません。またそうすべきだとも思っていません。そこにその候補者のパーソナルなものがありますが、これは直接にご自分で売り込んでいただかなければならない・・・と思っています」